多摩地域「PFAS」血中濃度、過半数が米指針値超え

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記者会見する京都大の原田浩二准教授(左から2人目)と住民団体メンバーら(8日、東京都立川市)=共同

東京都の多摩地域の水道水から有害な有機フッ素化合物「PFAS」が検出されている問題で、住民の血液検査をしている市民団体は8日、対象となった650人のうち過半数の335人が健康被害が懸念されるとする米国の指針値を超えたと発表した。

市民団体は「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会」。国分寺市や立川市など27区市町村の住民から採血した。同会は今後、井戸や川の水も検査して汚染状況を調べ、国や自治体にも対応を求める考えだ。

PFASは多数ある有機フッ素化合物の総称。日本に血中濃度の指針はなく、京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)が、代表的な物質PFOSとPFOAなど4種類に着目し、米国やドイツの指針と比較した。

4種類の血中濃度は650人の平均値が1ミリリットル当たり23.4ナノグラムで、335人が学術機関の米国アカデミーが示した値(両物質など7種の合計値が20ナノグラム)を超えた。PFOSに限った濃度は、国分寺市が平均16.7ナノグラム、立川市が14.2ナノグラムで、全体平均の10.8ナノグラムを大きく上回った。

原田氏は「水道が主要な摂取源。全国的な問題だ」と述べ、調査を広げる必要性を強調。米軍横田基地がPFASを含む泡消火剤を使っていたことに触れた上で「工場などでも使われていた。行政が調査しないと実態が見えない」と訴えた。〔共同〕