PCR検査、相談目安見直しへ 「37.5度以上」基準を削除

新型コロナのウイルス検査はPCR検査が主流だ(東洋紡提供)

厚生労働省は6日までに、新型コロナウイルスのPCR検査に向けた「相談・受診の目安」を見直す方針を固めた。

従来は原則、37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合に相談するとしていたが、37.5度という具体的な基準は削除し、息苦しさや強いだるさがあればすぐに相談するように明記する。

政府の専門家会議の4日の会合で相談・受診の目安の改定が議論された。同省は表現などを検討し、近く公表する。

相談・受診の目安は同省が2月17日に公表。息苦しさなど重い症状がある人や高齢者らは4日を待たずに相談できるという趣旨だったが、説明不足から「発熱から4日以上経過しなければ相談できない」との誤解を招き、検査や治療の遅れにつながっていると指摘されていた。

専門家会議の原案では、体温の数値基準をなくすほか、息苦しさや強いだるさ、高熱などの「強い症状がある」場合は「すぐに相談」すると明記することを検討。高齢者や糖尿病、心不全などの持病がある人、妊婦などについては、発熱やせきなどの「比較的軽い風邪の症状」でもすぐに相談するとした。

新型コロナの感染が疑われる場合は通常、都道府県の保健所などに設置された帰国者・接触者相談センターに電話相談する。必要に応じて帰国者・接触者外来を紹介してもらい、PCR検査などを実施する仕組みだ。インフルエンザなどの患者が医療機関に殺到し、そこで新型コロナの感染が拡大する事態を防ぐことを目的としている。

しかし「37.5度以上の発熱4日以上」との目安に当てはまらずに重症化したり、PCR検査が遅れたりするとの不満が出ていた。

新型コロナは軽症者や無症状の感染者も多い一方、軽症者として自宅療養していた患者の容体が急変し、亡くなるケースもある。PCR検査の処理能力が順次向上していることも踏まえ、相談・受診の目安を見直すことで、多くの患者を幅広く検査や治療につなげる狙いもある。