米、ファイザーのコロナワクチン承認 接種開始へ

Nikkei Online, 2020年12月12日 11:56更新


米政府はファイザーなどが開発する新型コロナ
ウイルスワクチンの緊急使用許可を承認した=ロイター

【ニューヨーク=野村優子】米政府は11日夜(日本時間12日昼)、米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を承認したと発表した。出荷作業などの準備は進んでおり、全米でワクチン接種が始まる。世界最多の感染者数となる米国で初となるワクチンが承認されたことで、パンデミック(世界的大流行)収束への期待が高まっている。

トランプ米大統領は11日夜のツイッターの動画で「24時間以内に最初のワクチンが投与される」と指摘した。米主要メディアは初めてのワクチン接種が「数日以内に」実施されると報じている。アザー米厚生長官は11日の米ABCテレビの番組で、ワクチン接種が「早ければ来週月曜か火曜日」になると話した。

米食品医薬品局(FDA)が承認したのは、ファイザーと独ビオンテックが共同開発するワクチン。10日の諮問委員会で使用が支持されたことを受けて、正式に緊急使用許可を承認した。接種の対象は16歳以上。FDAは報告書で「緊急使用許可の承認に求める基準を満たした」としていた。

米国で配布されるワクチンは主に中西部ミシガン州のファイザー工場で生産される。セ氏マイナス70度での保管が求められており、2~8度の冷蔵庫に移してからは5日以内に使用する必要がある。米政府は同ワクチンを1億回分確保しているが、まずは290万回分を供給する見通し。医療従事者や介護施設の居住者に優先的に接種する。

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FDAは17日に、米モデルナのワクチン承認について議論する諮問委員会を開催する予定。米政府は2020年内に全体として4000万回分(2000万人分に相当)のワクチン接種を目指している。

新型肺炎

米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏の側近のメドウズ大統領首席補佐官は11日、FDAのスティーブン・ハーン長官に対し、11日中にファイザーの新型コロナワクチンに緊急使用許可を付与しないのであれば辞任せよと迫ったという。

FDAは12日午前に許可する予定だったが、それを前倒しするための準備に追われた。トランプ氏は11日、「FDAは年老いたのろまな亀だ。ワクチンを今供給しろ、命を救え」とツイッターに投稿し、いらだちを示していた。

英国ではファイザーなどが開発した新型コロナワクチンが承認され、8日から高齢者などを対象に大規模な接種が始まっている。ただ、開発のスピードを最優先したため、効果の持続性や安全面で不透明な部分が残る。8日に英国で接種を受けた2人にはアレルギー反応があった。