東京五輪パラ、海外客受け入れ断念決定 5者協議で

Nikkei Online, 2021年3月20日 19:35



東京五輪・パラリンピックに向けた5者協議で、
IOCのバッハ会長(後方)の呼びかけに応じる大会
組織委員会の橋本聖子会長(20日、東京都中央区)=代表撮影

今夏の東京五輪・パラリンピックを巡り、政府と東京都、大会組織委員会は20日夜、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)を交えて代表者による5者協議をオンラインで開いた。海外からの一般観客の受け入れ見送りを正式に決めた。

変異した新型コロナウイルスの世界的な拡大が続き、大規模に海外観客を受け入れれば大会の安全を確保するのが難しいと判断した。国内の医療提供体制に与える影響も懸念されていた。IOCのバッハ会長は5者協議の冒頭「重要なのは大会参加者、日本の国民の安全を守ることだ。それを尊重するために難しい決定を下さなくてはならない」とあいさつした。

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組織委などは一般観客を国内に限定し、国内のイベント規制に準じて4月中に各競技会場の観客数の上限を決定する方針だ。収容率は「50%以内」を軸に検討している。最大7万人近くを収容する国立競技場(東京・新宿)をはじめ大規模会場もあり、実際にどれだけの入場を可能とするかを詰める。

大会関係者によると、海外向けのチケットは90万枚程度が販売済み。大会の1年延期に伴い、一部は各国の公式販売事業者を通じて払い戻している。残る分も同様の手続きを進める方向で対応を協議する。

組織委は国内外から制限なく観客を受け入れた場合、チケット収入を900億円と見込んでいた。過去大会では全体の1~2割が海外販売分で、100億~150億円規模の減収が生じる可能性がある。組織委が資金不足に陥れば、IOCとの契約上、一義的には都が負担することになる。都が賄えない場合は国が補塡する決まりで、日本側で分担を協議することになりそうだ。

協議は組織委の橋本聖子会長や丸川珠代五輪相、小池百合子都知事、バッハ会長、IPCのパーソンズ会長が参加した。5者は今月3日にも会談し、月内に海外観客の受け入れ可否を決めることで合意していた。