身内の不幸で必要な手続き 医療・年金は14日めど

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自身が亡くなったときに備える「終活」をする人が増えています。一方で高齢の家族がいても、亡くなったときに備えている人は少ないでしょう。実際に家族が亡くなると、葬儀や埋葬のほかにも速やかにしなければならない手続きが多くあります。

Q 家族が亡くなったとき、最初に必要な手続きは何ですか。

A まずは死亡診断書を取得します。死亡診断書は人が亡くなったことを法的に証明する書類です。右半分が死亡の日時や原因が記入された死亡診断書、左半分が死亡届になっています。最近は8割以上の人が病院で亡くなります。その場合は右半分を担当の医師が記入します。左半分を家族らが記入し、市区町村に提出します。コピーを取ると後で便利です。


(注)スケジュールは目安。人によっては不要なものもある

Q 葬儀の準備などで忙しい中、役所の窓口に行くのですか。

A 葬儀会社の人が代わりに行くことが多いようです。併せて火葬許可証を申請し取得するのが一般的です。死亡届は死亡を知った日から7日以内が提出期限ですが、葬儀の直後に火葬するためには速やかに提出して火葬許可証を取得する必要があります。火葬許可証は火葬場に提出し、火葬後に埋葬許可証を受け取ります。

Q ほかに葬儀の前後にすべき手続きはありますか。

A 葬儀の費用や亡くなった病院での費用を精算しなくてはなりません。支払いに故人の死亡保険金を充てるなら、早めに契約している生命保険会社に連絡しましょう。保険金の請求には死亡診断書のコピーなどが必要です。

Q その後は何をしたらよいでしょうか。

A 市区町村の窓口でする手続きがいくつかあります。期限は死亡後14日以内のものが多く、チェックリストを用意している役所もあります。例えば国民健康保険や後期高齢者医療制度などの公的医療保険では保険証(被保険者証)を返却したり資格喪失届を出したりします。これらの制度では被保険者が死亡すると「葬祭費」が支給されます。申請には葬儀の領収書や会葬礼状などが必要です。

Q 他に重要なものは。

A 介護保険についても14日以内に保険証などを返却し資格喪失届を提出します。介護保険や後期高齢者医療制度には住所地特例があり「施設などに入居し住所を変更した場合は、以前の住所地で手続きをする必要がある」と行政書士の汲田健さんは話します。また、世帯主が亡くなった場合は世帯主変更届の提出が必要なことがあります。

Q 手続きを怠るとどうなるのでしょうか。

A 国民年金や厚生年金は手続きが遅れると死亡後も年金が支払われ、後日返還が必要な場合があります。国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に市区町村や年金事務所で「年金受給権者死亡届」を提出します。年金は該当する月に対して後払いとなるため、亡くなった時点で未支給分があります。故人と生計を同じくしていた家族はこの未支給分を請求できます。「同居していなくても生計同一関係に関する申立書を提出すれば受給できる」と社会保険労務士の酒井明日子さんは助言します。

Q 役所以外でする手続きには何がありますか。

A 故人が契約していたサービスを解約・変更しましょう。電気やガス、水道、電話などは事業者に連絡して停止するなどします。賃貸住宅の家賃など「費用がかさむものを優先して手続きしたい」と汲田さんは言います。

Q 数週間は対応に追われそうです。

A 四十九日の法要が一つの区切りになるでしょう。納骨をすることが多く、その際に火葬場で受け取った埋葬許可証を墓地などに提出します。ただ、ここまでは「前半戦」ともいえます。後半戦は相続です。まずは遺言の有無を確認し、預貯金や不動産など故人の財産を調べます。これらも煩雑な作業です。

(土井誠司)