Source: Nikkei Online, 2025年2月13日 10:21
【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIは12日、対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」の基盤に使うAIモデルの新型「GPTー5」を今後数カ月以内に公開すると明らかにした。論理的な推論に優れた「o(オー)」シリーズと統合する。利用者がモデルを選ぶ手間がなくなり、利便性が高まる。
チャットGPTは幅広い質問や指示に素早く答える「GPT」と、数学など複雑な問題に時間をかけて答えるのが得意な「o」の2種類のモデルがある。利用者は用途に応じてその都度、使うモデルを選ぶ必要がある。
現在、GPTシリーズでは2024年5月に発表した「4o」を提供している。サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は12日、X(旧ツイッター)の投稿で次期モデルの投入計画を表明した。今後数週間で「GPT-4.5」、数カ月のうちにGPT-5の提供を始める。具体的な時期は明らかにしなかった。
GPTー5はチャットGPTの無料ユーザーも使える。有料版では性能をさらに高める。
oシリーズでは24年12月に発表した「o3」の提供予定を取りやめる。従来の「o1」より数学の解答力やプログラミングコードを生成する能力を高めたモデルで、2月以降チャットGPTに加える計画だった。o3をGPT-5に統合する。
GPT-5以降、GPTとoの2つのシリーズの区別をなくすという。アルトマン氏は「当社のモデルと製品の提供方法がいかに複雑になったかに気づいた」と述べた。チャットGPTをよりシンプルなサービスにする方針だ。質問にすぐに答えるか、熟考する必要があるかをAIが判断できるようにする。
チャットGPTは22年11月の公開当初はモデル数が少なく単純な仕組みだった。開発が進むにつれてモデルの種類を増やし、機能の拡充につながった半面、対話AIに不慣れな人が使いづらくなったと判断した。
競争環境も変化した。中国の新興AI企業DeepSeek(ディープシーク)は推論が得意なモデル「R1」を公開し、オープンAIのo1に匹敵する性能を低コストで実現したとする。アルトマン氏は性能面でオープンAIが優位だと強調する一方、R1にならってAIが問題を解く過程を利用者に詳しく示す方針を示している。