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風が吹けば桶屋が儲かる

    由来: 江戸時代の町人文学、浮世草子の気質物(かたぎもの)が初出とされる。

    とかく今の世では有ふれた事ではゆかぬ。
    今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。
    そこで三味線がよふうれる。
    そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。
    そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。
    爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是(これ)も元手がなふては埒(らち)明(あか)ず。

    — 無跡散人『世間学者気質』より、

    関連内容として、
    (1)大風が吹けは土埃が立ち、盲人などの眼病疾患者が増加する。
    (2)盲人などが三味線を生業とし、演奏方法を指導したり、門付で三味線を演奏するので、三味線の需要が増える。
    (3)三味線製造に猫の皮が欠かせないため、猫が多数減り、鼠が増加する。
    (4)これら鼠は箱の類(桶など)をかじることから、桶の需要も増加して桶屋が儲かるだろう。

    が挙げられている。
    ここでは「風が吹けば箱屋が儲かる」などの成句の形はみえず、「桶」のかわりに「箱の類」となっている。また、『東海道中膝栗毛』二編下(享和3年、1803年)では、「箱」になっている。