緊急事態宣言 東京・大阪・北海道は「特定警戒」継続

愛知・京都・福岡は解除 34県も宣言対象外で検討

緊急事態宣言の影響で閑散とする東京・銀座(4月29日)

政府は新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言で、重点的に対応する「特定警戒都道府県」に東京都と大阪府、北海道などを引き続き指定する方針だ。特定警戒だった茨城、愛知、岐阜、京都、福岡の各府県と、特定警戒ではなかった34県は宣言の解除を検討する。解除基準の原案も判明した。

14日に専門家会議と諮問委員会を開き、最終判断する。政府高官は12日、自民党幹部に34県と特定警戒の茨城、岐阜両県は宣言を解除できる見通しだと伝えた。

政府は4月7日に7都府県に宣言を出し、4月16日に全国47都道府県に広げた。このうち北海道、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、石川、愛知、岐阜、京都、大阪、兵庫、福岡の13都道府県を特定警戒に指定していた。5月4日には、6日までの宣言の期間を31日まで延長すると決めた。

東京都は新規感染者数が低下傾向だが入院患者数が多い。感染が拡大すれば病床が不足する懸念がある。大阪府も感染拡大の懸念が残るほか、北海道は「第2波」が収まっていない。対応が緩むことを防ぐため特定警戒への指定を続ける。

特定警戒の対象外だった34県と、特定警戒の茨城、愛知、岐阜、京都、福岡は感染者が減っており、現時点で感染爆発の懸念が乏しいとみている。

政府は14日に続いて、1週間後の21日ごろに宣言の範囲を再検討する。感染者数などが少なければ31日を待たずに宣言を解除する一方、いったん解除した自治体でも感染が広がる兆候があれば再び宣言の対象に加える。

宣言を解除する基準は専門家会議が作成中だ。12日に判明した原案によると「直近1週間で10万人あたりの累積感染者が0.5人以下」を解除の目安の一つに挙げた。人の往来による感染の再拡大を避けるため、近隣の特定警戒都道府県の感染状況も考慮する。PCR検査の陽性率を指標に加えることも検討している。

直近1週間の10万人あたり感染者が0.5人を上回っていても、同1人程度で感染経路が特定できている割合が多いケースなどでは解除を選択肢にするという。

医療と検査の体制の整備も条件に入れる。重症者数の減少や人工呼吸器の数、医師が必要と判断した人にPCR検査が迅速にできるかどうかが判断材料になりそうだ。

いったん解除後に再指定するときは「10万人あたり感染者が5人以上」を目安にする案がある。感染者数が倍になるまでの「倍加時間」が10日以下、感染経路不明者の割合が30%以上、なども基準として検討している。

西村康稔経済財政・再生相は12日の記者会見で、接待を伴う飲食店やスポーツジムなど、これまでに集団感染が起きた例がある施設に関しては宣言解除後も利用の自粛を求める考えを示した。「特定警戒地域との間で県をまたぐ移動は避けないといけない」とも語った。

政府はこれまで宣言を解除する基準について(1)1週間単位の新規感染者数などの感染状況(2)医療提供体制(3)PCR検査などの監視体制――を挙げていた。西村氏はこうした項目を「総合的に判断する」と表明していた。