東京五輪が開幕 無観客で開会式、コロナ対策前面に


東京五輪の開会式で打ち上がる花火(23日午後、東京都新宿区の国立競技場)

第32回夏季オリンピック東京大会が23日夜、開幕した。国立競技場(東京・新宿)での開会式は新型コロナウイルスの影響で近代五輪史上、初めて無観客で行われた。開催都市・東京は緊急事態宣言下にあり、感染状況が異なる206カ国・地域から選手が集う。安全な開催が最大の課題で、17日間の大会中、不断の対策見直しが求められる。

五輪開会式には各国・地域の選手団約5700人が参加。感染対策のため、6万8千人が収容できる会場に観客の姿はなく、出席は大会関係者ら1000人以下に絞られた。

今回の開会式は共感を通じた連帯を示す「United by Emotion」をコンセプトに掲げる。新型コロナ禍で離れていても、感動を生み、世界中の人々をつなぐスポーツの力を表現した。

開会式冒頭のパフォーマンスでも、交流や練習を制限されてきたアスリートがオンラインなどで世界とつながる様子をダンサーとプロジェクションマッピングの映像を組み合わせて表した。歌手のMISIAさんが国歌を歌った。

東京での五輪開催は高度経済成長期の1964年以来となる。夏季大会では32回目。史上最多となる33競技339種目が実施され、選手約1万1090人が参加する。大半の会場が無観客となる。もともとは2020年7月に開催する予定だったが、新型コロナの世界的な感染拡大で1年延期された。

感染防止のため、選手たちは大会期間中に検査を毎日受ける。行動範囲は宿泊先と競技会場、練習場に制限されるなど厳しい条件下で競技に臨む。

既に選手11人の感染が明らかになった。選手村などでクラスター(感染者集団)を発生させないためには、早期の発見と隔離が欠かせない。

大会関係者のなかにはあらかじめ提出した行動計画外の外出など、感染対策のための規則集「プレーブック」に違反した事例も相次ぐ。

大会組織委員会は関係者が宿泊するホテルに監視員を配置するなど、行動管理を強化している。大会期間中の感染状況を見ながら、さらなる対策の強化、改善が欠かせない。

大会は8月8日の閉会式まで続き、これまでに新型コロナ下で開催されたスポーツイベントとして最大規模になる。安全で円滑に大会を運営できるか、世界が注目している。


東京五輪の開会式が開かれた国立競技場(23日、東京都新宿区)