マンションの修繕決議、出席者過半数で可能に
老朽対策促す 築30年超、20年後に588万戸

政府は分譲マンションの修繕方針などを決める住人集会について出席者の過半数の賛成で決議できるよう法改正を検討する。
現在は欠席を反対と見なすため賛成不足で決議できない場合がある。
増加する老朽マンション(総合・経済面きょうのことば)の改修を進めやすくする。

法相の諮問機関である法制審議会で議論し、2024年度にも区分所有法の改正をめざす。

国土交通省によると、ほぼ全てのマンションは建設から30年たつまでに少なくとも1回は大規模修繕をする。
築30年以上の分譲マンションは21年末時点で全国に249万戸ある。
20年後にはおよそ2.4倍の588万戸になる見通しだ。

適切な時期に修繕しないとマンションの価値が落ち所有者離れにつながる。
老朽化を放置すれば外壁がはがれるような事故も起きかねない。
階段やエレベーターの修理が必要になることもある。
修繕決議の要件を緩和して改修を後押しする。

不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)によると、中古マンションの全国の市場規模はおよそ3.4兆円(22年10~12月)だった。
19年同期と比べると新築マンションが1割近く減少した一方で、中古は3割ほど拡大した。

古いマンションでも管理が行き届いていれば地域に人を呼び込む魅力となる。

マンションは共用部分などを修繕する際、所有者で構成する管理組合の集会での決議が要る。
物件管理に無関心な住人や別の場所に住んでいて連絡がつかない人がいると欠席者が多くなる。

現在は欠席して委任状や議決権行使書による賛否表明もなければ反対として扱うため、改修などに必要な決議ができないケースがある。

特に大規模マンションで出席が少ない傾向がある。
都内のタワーマンションの3割程度は出席率が7割未満という調査がある。

法制審は所有者の5分の4の賛成が必要な建て替えに関する決議の要件緩和も議論する。
所有者の所在が分からないときは決議の参加対象から除外する案がある。
多数決の要件を4分の3以下に引き下げることも検討する。

建物の構造を変えるような大規模改修に必要な要件も緩める方向だ。
現在は所有者の4分の3以上の同意が必要だが、出席者の4分の3で可能にすべきだとの意見がある。

マンションの管理規約の変更も同様に緩和を協議する。
防犯や災害対策で規約を変更する機会が増えており、決議の円滑化を求める声があがる。

日本マンション管理士会連合会の瀬下義浩会長は「投資用での保有が増えている都市部で規約変更できない例が出ている」と話す。

 

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