能登半島地震、死者57人に 輪島市・珠洲市など

1日午後4時10分ごろ、石川県志賀町で震度7を観測する地震が発生し、北海道から九州にかけて揺れが観測された。気象庁は約4時間にわたり大津波警報を発令、日本海側の広い範囲に津波が到達した。建物の倒壊が相次ぎ、石川県内では57人の死亡が確認された。同県輪島市では大規模な火災が起き、約200棟が燃えた。

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気象庁は2日午前10時、日本海沿岸に出した津波注意報をすべて解除した。石川県能登地方で今後、警報級の大雨が降る恐れがあるとして、土砂災害などに注意を呼びかけている。

石川県などによると、死亡したのは輪島市24人、珠洲市22人、七尾市5人、穴水町2人、能登町2人、羽咋市1人、志賀町1人。地震による直接死としては、2016年の熊本地震(50人)を上回った。総務省消防庁によると各地のけが人は計100人以上だが、調査中の自治体が多いとみられる。

泉谷満寿裕・珠洲市長は県の対策会議で「9割方の家屋が全壊やほぼ全壊という状況で壊滅的な被害だ」と述べた。

JR東日本は地震の影響で一部区間で見合わせていた北陸・上越新幹線の運転を2日午後3時20分ごろまでに順次再開した。

石川県輪島市で倒れたビル(2日午前)=共同

輪島市ではビルが倒壊。各地で家屋の倒壊も相次ぎ、逃げ遅れて取り残されている人がいる可能性がある。同市内の観光地「輪島朝市」周辺で大規模火災が発生し、約200棟が全焼したとみられる。

気象庁によると、2日午後6時までに震度1以上を観測した地震が218回発生した。今後1週間ほどは最大震度7程度の地震が起きる恐れがあり、注意を呼びかけている。林芳正官房長官は2日の記者会見で午前11時時点で計5万7360人が避難していると説明した。

国土地理院は2日、輪島市で最大約4メートルの地表の隆起を観測したと発表した。水平方向では同市で西方向に約1.2メートルの地殻変動を観測した。

北陸電力によると、2日午後11時20分時点で石川県では約3万3600戸が停電。厚生労働省によると、同日正午時点で石川県の14医療機関、新潟県と富山県で各1医療機関が電気や水などが使用できなくなっている。石川県の1医療機関は倒壊の恐れがあるという。

地震で倒壊した金沢市の住宅(1日午後、近隣住民提供)=共同

気象庁は今回の地震で、石川県に2011年の東日本大震災以来の大津波警報を出した。山形、新潟、富山、福井、兵庫各県には津波警報を発令。津波は石川・輪島港で1.2メートル以上、金沢市で90センチ、富山市と山形県酒田市で80センチを観測したほか、北海道や長崎県にも到達した。

同庁によると、震源は能登地方で、震源の深さは16キロメートル。地震の規模はマグニチュード(M)7.6と推定される。同庁は「令和6年能登半島地震」と命名。震度7は18年の北海道胆振東部地震以来で、石川県内の観測は初めて。

震度7を観測したのは石川県志賀町、震度6強は輪島市など。新潟県長岡市などで震度6弱、富山県や福井県で震度5強、長野県や岐阜県で震度5弱を観測した。大阪市や名古屋市で震度4、東京23区や横浜市で震度3を記録した。

政府は1日夜、石川と富山、福井、新潟の4県の47市町村に災害救助法を適用すると発表した。政府は地震発生を受けて首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置した。


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