海保機が管制指示取り違えか 国交省、交信記録を公表

焼け焦げた日航機を調べる関係者(3日、羽田空港)

羽田空港の滑走路上で日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、国土交通省は3日、当時の管制官と両機の交信記録を公表した。海保機に対しては滑走路へ通じる誘導路に停止するよう指示した一方、離陸指示は出ていなかった。

海保機の機長は「管制官から離陸許可を得た」と認識していたとみられる。管制官からの指示を取り違えるなどした可能性がある。

斉藤鉄夫国交相は3日、交信記録を公表したうえで「客観的な資料を提示した。再発防止に万全を期す。運輸安全委員会の調査に協力する」と述べた。同省は「現時点で管制官の指示は適切と考えている」との見解を示した。

管制官は通常、2つの航空機を同時に滑走路へ進入させない。事故では両機に対してどのような指示が出ていたかが焦点となっていた。

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同省が3日公表した交信記録によると、羽田空港の管制官は当時、日航機に対しC滑走路への着陸許可を出した。日航の乗務員も同社の聞き取りに対し、管制からの着陸許可を復唱した後に着陸操作を行ったと説明した。

一方、管制官は海保機へは誘導路上の停止位置まで地上走行するよう指示したが、滑走路への進入は許可していなかった。海保によると、機長は管制官から離陸許可を得たという認識で操縦していたという。

衝突事故を受け航空各社は3日も一部の便を欠航した。JALは少なくとも国内線55便の欠航を決め、約1万人に影響が出た。全日本空輸(ANA)も国内線54便、国際線1便を欠航し、約1万1170人に影響した。

余波は物流サービスにも及んでいる。日本郵便によると関東・東海各地方など発着の郵便物や「ゆうパック」の配達に遅れが出ている。佐川急便でも航空機を使った宅配サービス「飛脚航空便」で3日に配達する分の荷物の到着が遅延する可能性があるという。

航空各社は4日から運航の正常化を図る。羽田空港に4本ある滑走路のうち、事故が起きた1本が閉鎖されているため、「上空での着陸待ちなどにより遅延が想定される」(航空大手)という声もある。

事故原因を巡り運輸安全委員会は調査官6人を同空港に派遣し、3日から現地調査を本格化した。海保機の操縦士らの音声を記録するボイスレコーダーを回収。日航機の記録装置も探索しており、管制との交信記録の解析を進める。

事故は2日午後5時50分ごろに発生した。新千歳(札幌)発羽田行きの日航機が着陸のためC滑走路に進入。海保機と衝突し両機とも炎上し、海保機の乗員6人のうち、機長をのぞく5人の死亡が確認された。

日航機は乗客乗員379人の全員が脱出したが、うち乗客の15人は打撲や体調不良などで医療機関を受診した。


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