自民単独で絶対安定多数 立民は議席減、共闘不発

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Nikkei Online, 2021年11月1日 5:39更新)

第49回衆院選は1日、全議席が確定した。自民党は追加公認を含め261議席を獲得し、国会の安定運営に必要な絶対安定多数を単独で確保した。岸田文雄首相(自民党総裁)は続投する。立憲民主党は共産党との共闘が不発で議席を減らした。日本維新の会が41議席で第3党になった。公明党は公示前から上積みし32だった。

衆院選は小選挙区289、比例代表176の465議席を争った。首相が就任後、初の大型国政選挙となった。

首相は1日未明、党本部で記者団に「国民の皆さんに認めてもらった。結果を踏まえてこれからしっかり政権運営、国会運営をしたい」と語った。

自民は安定多数の244を上回り、絶対安定多数の261議席を得た。絶対安定多数は衆院で常任委員会の委員長を独占したうえで、各委員会で自民が過半数を確保できる議席数だ。

公示前の276議席から減らしたものの、比例代表は議席を増やした。若年層の支持を得て積み増した可能性がある。

立民が野党候補を一本化した影響で苦戦した小選挙区もあった。神奈川13区で甘利明幹事長が立民の新人候補に敗れ、比例代表で復活当選となった。東京8区は石原伸晃元幹事長が立民候補に敗北し落選した。

首相はかねて勝敗ラインを「与党で過半数」に定めていた。自公両党は過半数の水準を超えて絶対安定多数の261議席を上回った。政権交代前の2012年と安倍政権下の14、17年に続き4回連続となる。

公示前は自公両党で衆院定数465のうち305議席を占め、議席占有率は65.6%だった。

公明は候補を擁立した9小選挙区で当選した。比例代表と合わせて32議席を確保し、公示前の29議席を超えた。

立民は野党第1党を保ったが、公示前の110議席には届かなかった。共産、国民民主党などと候補を一本化した小選挙区を中心に政権批判票を取り込む戦いを進めた。小選挙区では公示前を上回ったものの、全体としては共闘の効果が乏しい。

岩手3区では旧民主党の代表などを務めた小沢一郎氏が自民前職に敗れて比例で復活した。

維新は小選挙区で16議席を固めた。大阪以外に兵庫でも勝利した。比例も大幅に増やし、全体で公示前の11議席から3倍を超す上積みとなった。自民、立民に続く第3党に躍進した。

憲法改正の発議には衆参両院でそれぞれ3分の2の議席が必要で、衆院は310議席にあたる。与党と改憲に前向きな維新の議席を合わせればこれを上回る。

共産は比例を中心に議席を得ている。小選挙区は沖縄1区で勝利し、合計10議席だった。公示前の12議席から減らした。

国民は6小選挙区で勝ち、比例では5議席を得た。公示前の8議席を上回った。れいわ新選組は比例代表で3議席を獲得し、山本太郎代表の当選が固まった。

社民党は小選挙区で公示前の1議席を維持した。「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は議席を獲得できなかった。

12日間の選挙戦で、自民は「成長と分配の好循環」の実現に向け、賃上げ税制や地方でのデジタル化といった施策を主張した。首相は選挙戦で新型コロナウイルス対策による「第6波」への備えを訴えた。

公明は0歳から高校3年生への給付といった公約を打ち出した。

立民や共産などの野党各党も消費税減税や給付金といった分配政策を掲げ、与党との対立軸は曖昧なままだった。財源を巡る突っ込んだ論戦はみられず、経済や外交政策の議論は深まらなかった。

与党は安全保障や天皇制を巡る立場が異なる共産を含めた選挙協力を批判した。

野党共闘に加わっていない維新は規制改革などの成長戦略の必要性を強調し、改革姿勢を訴えてきた。