Nikkei Online, 2025年10月21日 11:05更新
石破茂内閣は21日午前の閣議で総辞職した。2024年10月1日の就任以来、石破首相の在任日数は386日を数えた。戦後36人の首相のうち森喜朗氏に続く24位となった。防災専門の省庁の創設や賃上げに取り組んだ。戦後80年にあたっての所感も発表した。

閣議で内閣総辞職にあたっての首相談話を決定した。「本当に困っている方々、苦しんでいる方々に手を差し伸べたいとの思いで取り組んできた」と強調した。
談話の冒頭で24年1月に発生した能登半島地震に言及し「二重災害への対応が喫緊の課題だった」と振り返った。防災の具体策として支援の拡充や避難生活環境の改善を挙げた。防災専門の省庁「防災庁」の設立にも「道筋をつくった」と記した。
少数与党での国会運営に関して「党派を超えた合意形成と『熟議の国会』にふさわしい真摯(しんし)な国会審議に努めた」と回顧した。政府提出法案や条約を1つを除いて成立させたことや25年度予算を24年度内に成立させたことなど実績を列挙した。
在任中にトランプ米政権による関税措置に対応した。側近の赤沢亮正経済財政・再生相を交渉役に立て、7月に関税率の引き下げや日本から米国への投資などで合意した。
退陣直前には戦後80年の所感を発表した。先の戦争を引き起こした原因を政府や議会の体制から分析した。「無責任なポピュリズムに屈しない、大勢に流されない政治家の矜持(きょうじ)と責任感を持たないといけない」と訴えた。