天皇陛下、ビデオで「支え合い進むこと願う」 コロナ案じ

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天皇陛下は1日、国民に向けた新年のビデオメッセージを宮内庁を通じて公表された。長引く新型コロナウイルス禍で苦境にある人々をいたわり、「明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを心から願っています」と述べられた。皇后さまも同席し、「少しでも穏やかで、実り豊かな年となりますよう」と言葉を添えられた。

陛下の国民に向けたビデオメッセージは、コロナ禍で見送られた新年一般参賀でのあいさつに代わるもので、2021年の元日に続き2回目。天皇の新年最初の活動である宮中行事「四方拝」の開始時刻に合わせ、午前5時半に宮内庁ホームページで公開された。映像は約6分間で、今回は字幕を付けた。

メッセージの大半はコロナ禍に関する内容で、陛下はワクチン接種が広がり、国民の努力もあって感染者数が一時期より減少したことを「明るい兆し」としながらも、新たな変異型「オミクロン型」の影響を懸念。「助けを必要としている方々のところに、多くの温かい手が差し伸べられることを願ってやみません」と述べられた。

そのうえで「皆がこれまでの経験に学び、感染症の対策のための努力を続けつつ、人と人とのつながりを一層大切にしながら、痛みを分かち合い、支え合って、この困難な状況を乗り越えていくことを心から願っています」と語り掛けられた。

21年で発生から10年を迎えた東日本大震災や相次ぐ自然災害の被災者を案じる一方、東京五輪・パラリンピック大会が「多くの人々に勇気と希望を与えるものとなった」として選手や関係者の努力をたたえられた。

側近によると、両陛下は21年12月28日の収録直前まで新型コロナの感染状況や寒波による国民生活への影響を考慮し、推敲(すいこう)と練習を重ねられたという。

2022年を迎えるにあたり撮影に臨む天皇ご一家(21年12月21日、皇居・御所)=宮内庁提供

2022年を前に撮影に臨む上皇ご夫妻(21年12月13日、東京都港区の仙洞仮御所)

2022年を前に撮影に臨む秋篠宮ご一家(21年12月11日、東京都港区の秋篠宮邸)=宮内庁提供

両陛下のビデオメッセージ全文

【天皇陛下】新年おめでとうございます。
【皇后さま】おめでとうございます。


【天皇陛下】今年も、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、一般参賀で皆さんに直接お話をすることが残念ながらできません。そこで、昨年と同じようにビデオで御挨拶をしようと思います。


この1年も新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、国の内外で多くの方が感染し、亡くなりました。亡くなられた方々に、深く哀悼の意を表しますとともに、大切な方を亡くされた多くの方々に、心からお見舞いを申し上げます。また、これまで、献身的に治療に当たってこられた医療従事者の皆さんの並々ならぬ御尽力に改めて敬意と感謝の意を表します。


我が国では、幸いにしてワクチン接種が行き渡ってきたことや、国民の皆さんのたゆみない努力などにより、新型コロナウイルスの感染者の数が一時に比べて大きく減少し、随分と落ち着きを見せています。また、新型コロナウイルス感染症により重症化する方や亡くなる方も確実に少なくなってきており、明るい兆しが見えてきたようにも思われます。同時に、今、私たちは、オミクロン株という、新たな変異ウイルスの脅威にも直面しています。


海外に目を向けると、感染者数が増加している国も多く、中には、ワクチンが手に入らなかったり、必要な治療が受けられない人々も大勢おり、このような状況が早く改善することを願っています。
国内にあっては、この新型コロナウイルス感染症の影響により、仕事を失ったり、苦しい生活状況に陥る方も多く、心が痛みます。助けを必要としている方々のところに、多くの温かい手が差し伸べられることを願ってやみません。


国民の皆さんのこれまでの御苦労もいかばかりかと思いますが、今一度、私たち皆が、これまでの経験に学び、感染症の対策のための努力を続けつつ、人と人とのつながりを一層大切にしながら、痛みを分かち合い、支え合って、この困難な状況を乗り越えていくことを心から願っています。
そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まり、皆さんと再び直接お会いできる日が来ることを心待ちにしています。


昨年は、東日本大震災の発生から10年を迎えた年でした。人々のたゆみない努力により、一歩一歩復興が進んできていますが、その一方で、多くの方々が、困難な状況の中で今なお苦労を重ねておられることを案じています。また、昨年も台風や大雨により、多くの方が被害に遭われ、亡くなられたことに胸が痛みます。これからも被災地の方々に心を寄せていきたいと思います。


私たちの前には、まだ様々な困難が横たわっていますが、そのような中にあって、昨年夏に行われた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、選手や関係者の努力により、多くの人々に勇気と希望を与えるものとなったことと思います。


本年が、皆さんにとって、明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを、心から願っています。新年に当たり、我が国、そして世界の人々の幸せと平和を祈ります。
【皇后さま】昨年も、多くの方にとって御苦労の多い年だったのではないかと思います。また、年の暮れからの寒波で大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように。


今年が、皆様にとって少しでも穏やかで、実り豊かな年となりますよう、心からお祈りしております。



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