米財界大物もトランプ氏批判

 政権移行要求、献金停止も


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Microsoft News, (2020/11/24 9:36更新

選挙結果を認めないトランプ氏への
風当たりが強まっている=ロイター

【ニューヨーク=中山修志】大統領選の結果を認めないトランプ米大統領に対し、米経済界から批判が強まっている。23日、ニューヨークに拠点を置く企業経営者164人が円滑な政権移行を求める共同書簡を提出した。経営者らは新型コロナウイルス危機のなかで政策の停滞を懸念しており、政権交代を拒めば政治献金を差し止めることも検討する。

同日公表した共同書簡には、金融大手ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)やカード大手ビザのアルフレッド・ケリーCEO、大手投資ファンド、ブラックストーン・グループのジョン・グレイ社長ら財界の大物が名を連ねた。

メンバーは「政権移行が遅れれば民主主義が弱体化し、国際舞台における米国の地位が低下する」と懸念を表明。「次期政権に資源や重要情報を与えないことは米国の経済と安全を脅かす」と指摘し、政権移行を統括する一般調達局(GSA)に対し、バイデン前副大統領を次期大統領と認め、速やかに移行作業に着手するよう求めた。

GSAはこうした流れを受け、23日にバイデン氏への政権移行を容認した。バイデン陣営のメンバーは国家安全保障に関わる情報へのアクセスや現政権の新型コロナ対策のチームとの接触が制限され、政権の立ち上げ作業が遅れていた。

米メディアによると、共同書簡のメンバーは20日に会合を開き、トランプ陣営が政権交代を拒んだ場合は1月に行われる南部ジョージア州の上院議員選挙で共和党候補への献金を差し止めることを協議したという。同州の2議席を落とせば上院の主導権が民主党に移る可能性があり、共和党に働きかけて政権移行を促す考えとみられる。

全米製造業者協会(NAM)も18日の声明で、次期政権を認め、速やかに移行手続きを始めるようGSAに求めた。「今後2カ月は新型コロナウイルスと闘い、米国経済を立て直すための重要な時期だ。無駄にする時間はない」と訴えた。

米商工会議所のトム・ドナヒュー会頭は米ニュースサイト、アクシオスのインタビューで「バイデン陣営には豊富な行政経験があり、政権を軌道に乗せることができる」と評価した。米商工会は伝統的に共和党と関係が深いが、ドナヒュー氏は「米国民の安全と幸福のために政権移行を遅らせるべきではない」と提言した。

トランプ陣営は激戦となった中西部ミシガン州や東部ペンシルベニア州の結果を不服とし、連邦最高裁判所まで法廷闘争を持ち込む意向を示している。最高裁までもつれれば最終決着がさらに遅れる可能性がある。

ミシガン州を拠点とする全米自動車労組(UAW)は20日の声明で、「ミシガンでのバイデン氏の勝利は明確だ。結果を認めないのは有権者への侮辱だ」とトランプ陣営を非難した。