バイデン氏、選挙人過半数確保 次期米大統領に選出へ


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Nikkei Online, 2020年12月15日 7:42更新


民主党のバイデン前副大統領は11月7日に
米大統領当選を確実にしていた=ロイター

【ワシントン=永沢毅】米大統領選は14日、次期大統領を正式に選出する手続きである選挙人による投票が全米50州と首都ワシントンで実施された。当選を確実にしている民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)が当選に必要な538人の選挙人の過半数(270)を確保した。

米連邦議会はこれを受け、2021年1月6日に上下両院合同会議を開いて選挙人の投票結果を集計し、同20日の就任に向けて次期大統領を正式に選出する。

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バイデン氏は14日夜、地元の東部デラウェア州で国民向けの演説に臨む。同氏は「私はすべての米国人の大統領になる」と結束の必要性を改めて訴える。「パンデミック(世界的大流行)や権力の乱用で民主主義の炎を消すことはできない」と民主主義の尊さにも触れる。

大統領選は全米538人の選挙人の過半数270人以上を争う。有権者は正副大統領候補に投票するが、形式上は「選挙人」による間接選挙だ。州ごとに票を集計し、大半の州では1票でも多く得票した候補が州の選挙人をすべて獲得する「勝者総取り」方式をとる。

今回の大統領選は11月3日に投開票され、各州は先週までに結果を公式に認定した。この通りに選挙人が14日に投票し、党の指名候補に投票しない「不誠実な選挙人」が現れなければ、バイデン氏が306人、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領(74)が232人をそれぞれ獲得することになる。米東部時間午後5時半時点でバイデン氏が獲得した選挙人は302人、トランプ氏は232人。

米メディアによると、トランプ氏が法廷闘争をおこした中西部ミシガン、東部ペンシルベニアなど激戦6州でも投票が実施され、いずれもバイデン氏が順当に票を得た。大きな波乱は起きなかったもようだ。

通常なら選挙人による投票が注目されることはない。当確報道を受けて敗れた候補が敗北宣言し、次期大統領が固まるためだ。今回は11月7日にバイデン氏が当選を確実にした後もトランプ氏が敗北を認めず、結果認定のプロセスが異例の関心を集めている。

14日の結果を受けてトランプ氏がどう対応するか焦点となる。同氏は11月下旬、選挙人の投票でバイデン氏の勝利が確定すればホワイトハウスを去るかを問われて「きっとそうする」と述べ、退任する意向を示していた。しかし、13日放映のFOXニュースのインタビューでは「(法廷闘争は)終わっていない」と語り、14日以降も敗北を認めないとも受け取れる発言をした。