バイデン次期政権へ移行本格化 共和トップが祝意

運輸長官に次世代ホープのブティジェッジ氏


<<Return to Main

Nikkei Online, 2020年12月16日 6:18


ブティジェッジ氏は大統領選の予備選から撤退し、
バイデン氏㊧の支持に回った(3月、テキサス州)=ロイター

米国のバイデン次期政権への移行手続きが加速してきた。バイデン氏は運輸長官に大統領選で民主党候補指名を争った次世代のホープ、ピート・ブティジェッジ氏(38)を起用し、看板政策の気候変動問題などを担当させる。上院共和党トップのマコネル院内総務も選挙人投票の結果を受け、バイデン氏に「祝意を表したい」と表明した。トランプ大統領はなお敗北を認めていないが、来年1月6日の議会での投票認定手続き、同20日の次期大統領就任に向けた動きが今後、本格化する。

【関連記事】

【ワシントン=鳳山太成】バイデン次期米大統領は15日、運輸長官に大統領選で民主党候補指名を争った前インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジ氏(38)を指名すると発表した。将来の大統領候補と期待される若手に看板の環境・インフラ政策を任せる。

ブティジェッジ氏はコンサルティング会社勤務を経て2012年から地元市長を2期8年務めた。アフガニスタンの駐留経験もあるが、連邦政府で働いた経験はない。上院で承認されれば、同性愛者を公言する初の閣僚となる。

ブティジェッジ氏は2月、民主党の予備選で初戦に勝って注目を集めた。3月に撤退を表明すると、同じ中道穏健派のバイデン氏支持にいち早く回った。同氏の予備選勝利につながるきっかけをつくった。バイデン氏の大統領選勝利や政権移行にも尽力してきた。

運輸長官は自動車の燃費規制やインフラ投資を担う。バイデン氏はトランプ政権が緩めた規制を再び強化し、電気自動車(EV)の普及を通じて排ガス削減を狙う。ブティジェッジ氏も環境対策に熱心だ。米国に進出する日本の自動車メーカーにも影響を及ぼす。

【関連記事】


トランプ大統領が敗北を認めないなか、米上院共和党トップ、
マコネル院内総務は「ジョー・バイデン次期大統領に祝意を
表したい」と就任を受け入れる意向を示した=ロイター

【ワシントン=中村亮】米上院共和党トップのマコネル院内総務は15日、民主党のバイデン前副大統領が次期大統領に就くことを受け入れる意向を表明して「祝意を表したい」と述べた。これまでは敗北を認めないトランプ大統領に同調していた。共和党内で次期大統領としてバイデン氏を認めるべきだとの意見が広がりそうだ。

マコネル氏が議会での演説で「大統領選が別の結果を導くと我々の多くが望んだが統治体制には(2021年)1月20日に誰が大統領に就任するかを決めるプロセスがある」と指摘。次期大統領を正式に選出する手続きである14日の選挙人による投票でバイデン氏が過半数を得たことを念頭に「選挙人団は(意思を)示した」と述べて「ジョー・バイデン次期大統領に祝意を表したい」と強調した。

バイデン氏は15日、地元の東部デラウェア州で記者団に対し、マコネル氏と同日に電話で話したと明かした。「よい会話ができた」と述べた。同州選出の上院議員を務めたバイデン氏はマコネル氏と長年にわたる交流がある。公約の実現に向けて共和党から協力を取り付けるにはマコネル氏がカギを握る。

トランプ氏は15日、ツイッターで「有権者の不正について大量の証拠が出てきている。この国でこのようなことはかつてなかった!」と書きこんだ。選挙不正を引き続き主張し、敗北を認めない構えを見せた。マクナニー大統領報道官も同日の記者会見で選挙人による投票について「合衆国憲法が定める手続きの一つだ」と述べるにとどめ、今後も法廷闘争が続くとの見方を示した。