Nikkei Online, 2021年1月7日 23:46更新
【ワシントン=永沢毅】米首都ワシントンで6日、トランプ大統領の支持者らが連邦議会議事堂に多数乱入し、占拠した。民主党のバイデン前副大統領(78)の大統領選勝利を認定する手続き中だった連邦議会の上下両院合同会議が中断を迫られたが、7日未明に正式に選挙結果を承認した。
米大統領選は投開票日から2カ月あまりを経て最終決着し、バイデン氏は20日に米大統領に就く。ただ4人が死亡する異常事態に発展した議会占拠は米国の民主主義の危機をあらわにし、米政治史に深い傷痕を残した。
連邦議会議事堂が攻撃を受けたのは米英戦争のさなかに英軍が火をつけた1814年以来、約200年ぶり。
政権内にはトランプ氏を20日の退任前に免職すべきだとの意見も浮上する。トランプ氏は合同会議に先立ち、大統領選挙の結果に抗議する大規模集会に出席し、支持者に乱入を扇動するような発言をしていたためだ。共和党のロムニー上院議員は「大統領が引き起こした反乱だ」と批判した。
米メディアは複数の閣僚が合衆国憲法修正25条に基づき、大統領免職の協議をしていると報じた。民主党は100人以上が弾劾を求めている。
トランプ政権を去る高官も相次ぐ。
メラニア米大統領夫人の首席補佐官を務めてきたグリシャム元大統領報道官とマシューズ大統領副報道官が6日に辞任。
米メディアによると、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)も検討中で、ポッティンジャー大統領副補佐官(同)も辞任した。
トランプ氏はバイデン氏の勝利認定を受けて声明を出し「選挙結果には同意しないが、1月20日には秩序だった政権移行をする」と表明し、ホワイトハウスを離れる意向を示した。「歴代大統領の中で最も偉大な1期目が終わる。米国を再び偉大にする戦いの始まりにすぎない」とも強調した。
合同会議は全米50州と首都ワシントンの「選挙人」の投票結果を集計し、大統領選の結果を確定する最後のプロセスだ。通常なら形式的な手続きにすぎず、混乱することはない。今回は共和党からバイデン氏が制した西部アリゾナ、東部ペンシルベニア両州の結果に異議申し立てがあった。ただ、結果は変わらなかった。
トランプ氏は合同会議に際し、進行役を務めたペンス副大統領にバイデン氏勝利を認めないよう圧力をかけていた。
ペンス氏はそれに応じなかった。