Nikkei Online, 2026年1月18日 5:16更新

トランプ米大統領は17日、米国がデンマーク自治領グリーンランドを取得するまで、欧州8カ国からの輸入品に10%の追加関税をかけると表明した。2月に発動し、6月に税率を上げる。米国がグリーンランドを「完全かつ全面的に購入する」まで関税をかけ続けると宣言した。
自身のSNSで明らかにした。トランプ氏によると10%の関税は2月1日に発動し、6月1日には税率を25%に引き上げる。対象はデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドの8カ国とする。
トランプ氏は「米国は150年以上にわたりこの取引を試みてきた」と主張。全米防衛システム「ゴールデンドーム」構想を実現するためにも、グリーンランドを取得することは「極めて重要だ」と述べた。
トランプ氏は投稿で、新たな追加関税の法的根拠については触れなかった。これまでのトランプ関税を巡っては、米連邦最高裁で憲法違反かどうかを判断するための裁判が続いている。
欧州側はトランプ氏の発言を受けて一斉に反発した。欧州連合(EU)のコスタ大統領は17日の記者会見で、米国の関税方針に対しEUとして共同で対応する方向で調整していると表明した。
スウェーデンのクリステション首相は同日の声明で、EUに加えて英国、ノルウェーとも統一した対応を協議していると明かした。「私たちは脅迫されるわけにはいかない。同盟国のために立ち上がる」とも述べた。
フランスのマクロン大統領は17日にSNSで「どのような威嚇も脅迫も我々に影響を与えることはない」と述べ、「関税による脅しは受け入れ難い」とトランプ氏を批判した。「欧州の主権を(米国に)尊重させる」として、欧州諸国と連携する方針を示した。
ドイツ政府の報道官は17日の声明で「欧州のパートナー諸国と緊密に連携している」としたうえで「適切な対応については共に決定する」と説明した。
英国も反発している。スターマー首相は「同盟国に関税を課すのは完全に間違っている。当然ながら米政権と直接協議を進める」と話した。スターマー氏がトランプ氏を批判するのは珍しい。
EUの立法機関、欧州議会のランゲ国際貿易委員長は17日、SNSで、昨年の米EUの貿易協議の合意に基づく手続きを停止すべきだと主張した。
ランゲ氏は、デジタルサービスや金融を含む米製品・サービスに広く制裁を科す「反威圧措置(ACI)」の発動を欧州委員会に要請する考えも示した。
ACIはEU側の奥の手でまだ発動例はない。2025年夏の米欧貿易交渉の過程でも、マクロン氏がACI発動を検討する考えを示したことがある。
米国側はグリーンランド問題と貿易交渉とは別問題だと主張している。ロイター通信によると、米通商代表部(USTR)のグリア代表は、訪問先のデトロイトで「私がEU側ならこの問題を(貿易交渉とは)切り離そうとするだろう」と訴えた。

今回関税の対象となった国々は、これまでもデンマーク側の支援に回る動きを見せていた。
デンマーク政府は14日、グリーンランドやその周辺に展開する部隊を増強することを明らかにした。北大西洋条約機構(NATO)加盟国とも連携する。
フランスはデンマークの要請を受けてグリーンランドに仏軍を派遣するほか、スウェーデンも自国軍の将校らを送る計画を表明した。ドイツやノルウェーの軍関係者も加わる。
(ワシントン=八十島綾平、パリ=北松円香、ダボス=南毅郎、ブリュッセル=辻隆史、ロンドン=江渕智弘)