英、ウクライナ追加支援へ ジョンソン首相がキーウ訪問

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Nikkei Online, 2022年4月10日 1:12更新

9日、キーウを訪れたジョンソン英首相(右)を
出迎えるウクライナのゼレンスキー大統領
=ウクライナ大統領府提供・ロイター

【ロンドン=中島裕介、ワシントン=坂口幸裕】ジョンソン英首相は9日、首都キーウ(キエフ)を訪れ、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。英首相官邸によると、両首脳はロシアの侵攻の長期化に備えた支援策について協議した。ジョンソン氏は兵器などの軍事面と資金面の追加支援を近く打ち出す方針だ。

ジョンソン氏の訪問は、8日にウクライナの欧州連合(EU)加盟プロセスの加速などについて協議したEUのフォンデアライエン欧州委員長に続くもので、欧州の結束を示した。オーストリアのネハンマー首相も9日、キーウを訪れ、記者会見でロシアに対し「戦争が終わるまでEUの制裁を強化し続ける」と強調した。

キーウ攻略に失敗したロシア軍はウクライナ東部・南部に部隊を再配置している。東部ドネツク州のキリレンコ知事は8日、クラマトルスクの駅のミサイル攻撃で、子ども5人を含む52人が死亡したとSNS(交流サイト)で表明した。米国防総省のカービー報道官は8日の記者会見で、ロシア軍が短距離弾道ミサイルを使ったと分析した。

米メディアによると、パトリオットを配備する
スロバキアには100人ほどの米兵が派遣される=ロイター

米政府は8日、旧ソ連時代に開発された地対空ミサイルシステム「S300」をウクライナに初めて間接供与したと明らかにした。ロシアが攻勢を強めるウクライナ東部の守りを固める。

米国はミサイル防衛システム「パトリオット」を北大西洋条約機構(NATO)加盟国のスロバキアに提供する代わりに、同国が保有するS300をウクライナに送る。米欧はこれまで射程が最大8キロメートルの携行型地対空ミサイル「スティンガー」を提供してきたが、S300は射程が数百キロメートルと長く、戦闘機だけでなく弾道ミサイルを迎撃する能力もあるとされる。米メディアによると、パトリオットを配備するスロバキアには100人ほどの米兵を派遣する。

ウクライナメディアによると、キーウ近郊マカリウの当局者は8日、射殺された132人の遺体が見つかったと述べた。

ウクライナの兵器システムは旧ソ連製が多い。実戦投入に訓練が必要な最新鋭兵器より、扱いに慣れた旧ソ連製の方が即戦力となる利点がある。チェコは旧ソ連製戦車や歩兵用戦闘車両を提供。ドイツも旧東ドイツ政府がかつて管理し現在はチェコの企業が保有する歩兵用戦闘車両の引き渡しを承認した。

 

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