Amazon、米当局と3800億円で和解 
3500万人にプライム会費返金

<<Return to Main

Nikkei Online, 2025年9月26日 6:56更新


有料会員の登録・解約の誘導方法が不当かどうかが争点になっていた=ロイター

【シリコンバレー=中藤玲】米連邦取引委員会(FTC)は25日、米アマゾン・ドット・コムの有料会員サービス「プライム」の入退会の誘導の手法が不当だと訴えていた裁判で、アマゾン側が25億ドル(約3800億円)を支払うことで和解すると発表した。消費者への一部返金に加え、解約を阻むデザインを改良することも求める。

裁判は日本の公正取引委員会にあたるFTCが2023年6月に提訴した。アマゾンの電子商取引(EC)サイトで、利用者が有料会員サービスに意図せず入会したり、複数画面を経ないと解約ができなかったりするケースが問題視され、消費者を保護するための法律に違反したかが争われていた。

こうしたウェブデザインは「ダークパターン」と呼ばれ、アマゾンはページ設計を見直してきたが、FTC側は改善が不十分だとして裁判を続けてきた。

アマゾンは25億ドルを支払う。うち10億ドルはFTC規則違反としての罰金だ。

15億ドルは意図しない登録や解約できずに影響を受けた推定3500万人の消費者に返金される。会員特典を少ししか使っていない人を対象に、最大51ドル支払われる。FTCは「我々の措置で得られる補償金としては過去2番目に高額だ」と強調した。

和解にあたりFTCは、有料プランの解約手続きを妨害するような措置を禁じ、簡単に解約できる方法を用意することも求めた。

アマゾンは和解において、不正行為を認めていない。アマゾンの広報担当者は「当社と幹部は常に法令を守っている。今回の和解で前進し、消費者のためのイノベーションに注力できるようになる」と声明を出した。

23日に米西部ワシントン州シアトルの連邦地裁で口頭弁論が始まり、1カ月ほどかけて本格的な審理を進める予定だった。

違法行為が認められた場合はアマゾン幹部が個人責任を問われるリスクがあった。そのリスクや裁判の長期化を避けるために、和解に至ったとみられる。


<<Return to PageTop