米、医薬品に100%関税 
トランプ氏「国内で工場着工なら免除」

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Nikkei Online, 2025年9月26日 11:13更新


【ワシントン=八十島綾平】トランプ米大統領は25日、海外から輸入する医薬品に10月1日から100%の追加関税をかけると表明した。特許切れの成分を使った後発薬(ジェネリック医薬品)は対象外とみられる。米国内で工場建設に着工すれば新たな関税を免除する方針も示した。

自身のSNSで表明した。米商務省は4月から通商拡大法232条に基づき医薬品分野の輸入実態を調査していた。鉄鋼・アルミニウム、自動車・自動車部品、銅製品に続く分野別関税となる。

トランプ氏の投稿によると、100%の追加関税の対象となるのは「ブランド薬や特許で保護されている医薬品」。具体的な対象製品の範囲はまだ示しておらず、米商務省が連邦官報を通じて告知する見通しだ。

米国は7月に日本の医薬品について、分野別関税の税率がすべての国・地域のなかで最低水準となる「最恵国待遇」を日本に約束した。

その後、米国と欧州連合(EU)が8月に発表した共同声明で、米国がEU製の医薬品に課す関税を既存の税率と分野別関税を合わせて15%を上限とすると明記した。米国側が日本とEUとの約束を守れば、医薬品関税の発動後も日欧は税率が15%に抑えられることになる。

トランプ氏は投稿で「米国内で医薬品の製造工場を建設中の企業を除く」とも記し、対米投資をした製薬会社は追加関税を免除する考えを示した。「建設中」のなかには着工段階の案件も含めると明記した。

欧州の製薬大手はトランプ氏の発表に先立ち巨額の対米投資を表明している。英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は17日、今後5年で米国に300億ドル(約4兆4000億円)を投資すると明らかにした。

英国勢のアストラゼネカも7月、2030年までに米国に500億ドルを投資する方針を、スイスのロシュやノバルティスも今年に入って米国への投資計画をそれぞれ発表している。

商務省は4月の調査開始当初は特許で保護されたブランド医薬品だけでなく、ジェネリック医薬品や医薬品原料(有効成分)なども幅広く対象としていた。

米国病院協会(AHA)などが「医薬品の入手が難しくなる」と懸念を示していたため、対象をブランド薬や特許期間が存続中の医薬品に絞った可能性がある。


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