G20首脳宣言を採択 ウクライナ巡り「核使用許されず」

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Source: Nikkei Online, 2023年9月9日 20:41更新

モディ首相㊨はアフリカ連合代表のコモロのアザリ大統領を出迎えた(9日、ニューデリー)=小林健撮影

【ニューデリー=秋山裕之】20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は9日、インドの首都ニューデリーで開幕した。議長の同国のモディ首相は成果文書となる首脳宣言を採択したと表明した。ロシアのウクライナ侵攻をめぐり「ウクライナでの戦争」と表現したうえで「核兵器の使用や威嚇は許されない」と強調した。

首脳宣言ではウクライナ情勢について「すべての国は領土獲得を目的として武力による威嚇や使用は慎まなければならない」と明記した。食料やエネルギーの安全保障などに負の影響を与えていることも指摘した。「この状況への見方や評価は様々であった」との文言を盛り込んだ。ロシアへの配慮とみられる。

首脳会議ではアフリカ連合(AU)を正式なメンバーに加えることで合意した。グローバルサウスと呼ぶ新興・途上国の声を取り入れる。

AUはアフリカの55の国・地域が加盟する地域機関だ。議長国インドのモディ首相が「包摂的な気持ちを持ってAUに恒久的な参加を認めるべきだ」と提起し、各国から賛同を得た。

世界はロシアによるウクライナ侵攻に伴い食料危機や不安定なエネルギー市場に直面した。特に新興国や途上国への影響は大きく、サミットの主要議題になる。

岸田文雄首相は9日、ウクライナを侵攻するロシアに部隊の撤退を求めた。食料危機を巡りG20で対処する必要を指摘した。法の支配に基づく開かれた国際秩序の重要性を説き「核による威嚇は断じて受け入れられない」と言明した。

主要7カ国(G7)議長として5月に開いた広島サミットの成果のG20への反映をめざす。脱炭素では各国のエネルギー事情などの条件に応じた「多様な道筋」を提起した。欧米や途上国・中東などで意見対立しやすい分野で共通項を探る。

東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出について日本の立場を説明した。中国による日本産水産物の輸入停止を念頭に「一部の国が突出した行動をとっている」と批判した。

G20首脳会議は10日までの2日間。日米独など主要7カ国(G7)に加え新興国など20カ国・地域が参加する。国内総生産(GDP)の合計は世界の8割に上る。