Source: Nikkei Online, 2023年10月11日 4:49
【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は10日、ホワイトハウスでイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃を受けて演説した。「イスラエルは悪意ある攻撃に反撃する権利と責務がある」と述べ、報復を容認した。防空システムや弾薬など軍事支援を強化し、連邦議会に対イスラエルの追加予算を認めるよう要請すると明かした。
イスラエルがハマスに攻撃された後、バイデン氏が演説するのは2回目。10日に臨んだ10分ほどの演説で「我々はイスラエルとともにある。イスラエルが自国民を守るために必要なものを確保し、この攻撃に対処できるようにする」と訴えた。
現時点で少なくとも14人の米国人が殺害されたのを確認したと明言した。ハマスに拘束されている米国人の奪還に向けてイスラエルと協力するよう担当者に指示したと説明した。米政府高官によると、20人程度が行方不明になっている。「人質となっている米国人の安全より優先すべきことはない」と語った。
バイデン氏は「テロを正当化することはできない。弁解の余地はない」と指摘。ハマスの攻撃について「まさに悪の行動だ」と断じた。
イランや隣国レバノンの親イラン武装勢力ヒズボラを念頭に、中東情勢の不安定化の隙を利用しようとする試みを「やめろ」と表明した。「米国は抑止力を強化するために地域における軍事力態勢を強化している。心は傷ついても、我々の決意は明確だ」と警告した。
米国防総省が派遣した原子力空母ジェラルド・フォードを中心とする空母打撃群は東地中海に到着した。イスラエルから要請があれば、情報収集や長距離攻撃などを後押しできる状況にある。ヒズボラなどを抑止する狙いがある。
バイデン氏は9日にフランス、ドイツ、イタリア、英国の首脳との協議で結束した対応を確認したとも訴えた。