ハマスが人質全員解放に同意 
ガザ和平案で回答、武装解除は言及せず

<<Return to Main

Source: Nikkei Online, 2025年10月4日 6:37更新

ガザでは2年に及ぶ戦闘が続いている(2日)=ロイター

【テヘラン=福冨隼太郎】イスラム組織ハマスは3日、トランプ米政権が示したパレスチナ自治区ガザの包括的な和平案に対する回答を提示した。イスラエル人の人質全員の解放に同意した。イスラエルと米国が求めている武装解除などには言及しておらず、米イスラエルが受け入れるかは不透明だ。

トランプ米大統領は3日、ハマスの回答を受け「ハマスは恒久的な平和を受け入れる準備ができていると確信している」と自身のSNSで表明した。ガザでの人質救出へ「イスラエルは直ちに爆撃を停止すべきだ」と要求した。

ガザでの停戦交渉を仲介してきたカタールの外務省報道官は4日、ハマスの回答を「歓迎する」とSNSに投稿した。同じ仲介役のエジプトとともに、人質解放の実現に向けた調整を続けると明らかにした。

ハマスは声明で「トランプ米大統領の提案に従って、死者を含む全てのイスラエル人の人質を解放することに同意する」とした。生存者は20人ほどとみられている。「仲介国を通じてただちに詳細を協議する用意がある」とも付け加えた。

ガザの行政をアラブ・イスラム諸国が支援する独立機関に引き渡す用意があるとも表明した。ガザでの戦争の終結を求めるアラブや国際社会、トランプ氏の努力を「高く評価する」とも強調した。

トランプ氏が提案したガザの再建計画についても言及した。「ガザの将来やパレスチナ人の権利に関する問題は、包括的なパレスチナの枠組みのなかで議論されるべきだ」と主張。ハマスもその一員として貢献するとした。

トランプ氏の提案には人質返還後に武装解除に応じるハマス構成員に「恩赦を与える」と盛り込まれた。ただ、ハマスの3日の声明には武装解除への言及はない。ハマスの排除を前提とするトランプ氏の提案とハマスの回答には温度差も目立つ。

トランプ氏は9月29日にイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、ガザの停戦から復興まで20項目で構成する和平案を公表した。ネタニヤフ氏は提案に同意し、ハマスの出方が焦点となっていた。

和平案は交渉の切り札となる人質を72時間以内に全員解放するようハマスに迫っていた。ハマスが要求してきたイスラエル軍の完全撤退については時期や条件の明示はなかった。

ハマスはこれまでもイスラエルとの停戦交渉を繰り返してきたが、ハマス壊滅を掲げるイスラエルとの議論は平行線をたどってきた。ハマスの組織は2年近くの戦闘で弱体化しており、仲介国のカタールやエジプトがトランプ氏の提案を受け入れるよう説得してきた。

<<Return to pageTop