Source: Nikkei Online, 2025年10月15日 6:17

【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は14日、ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領について「彼は戦争を終わらせたくない」との見方を示した。ロシアでガソリンの給油に長い列ができていると指摘し「突然、彼の経済は崩壊するだろう」と述べた。
ホワイトハウスでアルゼンチンのミレイ大統領との会談冒頭に記者団の質問に答えた。「私はウラジーミル・プーチンと非常に良い関係を築いていた」と語った。「非常に失望している。なぜ彼がこの戦争を続けるのかわからないし、最悪の結果をもたらした」と主張した。
ウクライナはロシアの製油所などを攻撃し、ロシア国内でガソリン価格が急上昇している。トランプ政権がロシアへの無人機攻撃を支援していた。ロシア経済に打撃を与え、和平交渉に後ろ向きなプーチン氏に翻意を迫る米国側の狙いが透ける。
トランプ氏は17日にウクライナのゼレンスキー大統領とワシントンで会談する。ウクライナの防空体制の強化と米国の巡航ミサイル「トマホーク」の供与が議題となる見通しで「彼は武器を求めている。トマホークがほしいようだ」と話した。
ゼレンスキー氏は11〜12日に連日でトランプ氏と電話協議し、トマホークの供与などを重ねて求めた。13日の記者会見で17日の対面での首脳会談を巡り「ウクライナの防空と、ロシアに圧力をかけるための長射程の攻撃能力が主要なテーマになる」と発言した。
米国の防衛大手が製造するトマホークを巡っては欧州が米国から間接的に買い取ったうえで、ウクライナに提供する仕組みを想定する。1600キロメートル離れた標的でも正確に攻撃できる。
米国がウクライナへのトマホーク供与を認めれば、ミサイルの射程はウクライナがすでに保有する長距離地対地ミサイル「ATACMS」の5倍超に延びる。ロシアの首都モスクワも射程に入る。プーチン氏は供与すれば「米ロ関係の破壊につながる」と反発する。
ロシアによる空爆でウクライナのエネルギー施設も大きな被害を受けており、米国製防空システム「パトリオット」の追加供与なども訴える。
ベッセント米財務長官は14日、ウクライナのスビリデンコ首相と会談した。米財務省によると、主要7カ国(G7)メンバーと協力してロシアへの圧力を大幅に強化すると伝えた。中国やインドを念頭にロシア産原油の購入を通じてロシアの戦費を支える国への圧力も強める必要性を強調した。