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三国志と三国時代

宮城谷昌光

建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。六代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に一人の幼い宦官がついた。その名は曹騰。後に八代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。
曹操、袁紹、袁術、孫堅、孫策、劉備、呂布などが活躍するのが三国時代であると誤解している人は寡なくない、と思われる。

が、それら群雄のなかで三国時代まで生きていたのは、劉備ただひとりである。したがって三国時代の人を正確に書くのであれば、三国(魏、呉、蜀)が残らず皇帝を立て、年号を建てた西暦222年からはじめなければならない。「後漢という時代」より。