2040年に向けて、都市と地方にかかわらず世帯の単身化と高齢化が進む。国立社会保障・人口問題研究所が19日発表した将来推計では、40年には世帯主が65歳以上の「高齢世帯」のうち40%が一人暮らしとなる。東京都で45%超となるのを筆頭に、すべての都道府県で30%を超える見込みだ。高齢者の生活を支えるしくみの再構築が欠かせない。
15年に1841万だった一人暮らしの世帯数は40年に1994万世帯まで増え、全体の39.3%になる見込み。高齢者の一人暮らしは15年の625万世帯から896万世帯まで4割以上増える。
特に目立つのが都市部での単身高齢者の増加だ。東京都は一人暮らしの高齢者世帯が15年に79万世帯だったが、40年には116万世帯となる見込み。大家族で住む人が少なく、将来、単身になる可能性が高いためだ。高齢者世帯に占める一人暮らしの比率は45.8%と全国で最も高くなる。
未婚の男女が増えているほか、2030年には「団塊の世代」が全員80歳以上になり配偶者と死別するケースも多くなる。みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は「人口急増期にベッドタウンとして発展した郊外に住む人も多い」とし、単身になる高齢者の生活を支える対策が必要と指摘する。
秋田県は全世帯に占める高齢世帯の比率が40年に57%を超え、全国でもっとも高くなる。同県では上小阿仁村が「道の駅」を拠点にした小型電気自動車(EV)の自動運転の実験をするなど、高齢者が移動や買い物で不便にならないような対策を進めている。
認知症を患う高齢者の一人暮らしが増えていく可能性も高い。東京都は19年度に認知症対策に37億円を投じる計画だ。区や市町村が実施する認知症検診に補助金を交付したり、認知症患者や家族を支えるための拠点を増やしたりする。