Nikkei Online, 2020年12月15日 7:18更新
【ニューヨーク=野村優子】米国で14日、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。第1弾として発送された290万回分のワクチンは、全米600カ所超の医療機関などに到着後、順次接種が進められる。医療従事者や介護施設の入居者の接種が優先される。米国初のワクチン接種がニューヨーク州で確認されてから、各州で接種の動きが広がっている。
接種が始まったのは、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックのワクチン。13日に中西部ミシガン州にあるファイザーの工場から出荷され、全米の医療機関や接種場所など計636カ所に届けられる。米政府関係者によると、14日に145カ所、15日に425カ所、16日に66カ所に到着する予定だ。
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同ワクチンはセ氏マイナス70度を保ちながら、物流大手のUPSやフェデックスなどが輸送。専用冷凍ボックスは全地球測位システム(GPS)で追跡でき、正しい温度が保たれているか確認できる仕組みとなる。ワクチンだけでなく、マスクや注射器、アルコール消毒シートなど関連用品も「ワクチンキット」として医療機関などに相次ぎ到着しており、接種体制が整っている。
米東部時間14日午前9時すぎ、米国で初めてワクチンを接種したのはニューヨーク州の病院で集中治療室を担当する女性看護師だった。クオモ州知事によると、14日中に1万回分が接種される見通し。冷凍設備のあるワクチン保管拠点を州内に90カ所設置した。ニューヨーク市は「ワクチン・コマンド・センター」を立ち上げ、公正な分配や市民の接種履歴などを管理する。
首都ワシントンでも接種が始まった。アザー米厚生長官はジョージ・ワシントン大学病院を訪問し、5人の医療従事者がワクチン接種する様子を視察。「ワクチンの接種開始は、驚くべき医学的な成果だ」と述べた。米メディアによると、南部フロリダ州や東部ペンシルベニア州、中西部オハイオ州などで相次ぎ接種が進んでいる。
米国ではファイザーとビオンテックのワクチンに続き、米バイオ製薬モデルナのワクチンが早ければ18日にも承認される見通し。米メディアによると、モデルナのワクチンは承認後、600万回分が3200カ所以上に出荷される。