国内外で「第4波」懸念 新規感染、28都府県で前週超す

Nikkei Online, 2021年3月28日 7:21更新

新型コロナウイルスの感染再拡大(リバウンド)が国内で鮮明になってきた。新規感染者数(7日平均)が前週より増えたのは26日時点で28都府県に上る。変異ウイルスが一因との見方も出ている。欧州でも新規感染者が1月以来の高水準になるなど、感染「第4波」への懸念は世界的に高まっている。

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国内では27日、2千人を超す感染者が確認された。2千人超えは2日連続。東京都は430人となり、今月最多だった24日の420人を上回った。大阪府は386人で2日連続の300人台、宮城県は129人で5日連続の100人台だった。

リバウンドは明らかだ。国内の新規感染者数(7日移動平均)は26日時点で1544.9人と、前週比で1.25倍。宮城や山形、愛媛など地方で感染が急拡大しているほか、東京が1.11倍、愛知、大阪、京都、兵庫の各府県も1.5倍前後となった。

首都圏1都3県に緊急事態宣言が出た1月7日時点で、新規感染が前週より増えていたのは33都府県だった。同10日には44都道府県に拡大。自治体が飲食店への時短営業や不要不急の外出自粛を求めた結果、2月8日には2県まで減った。だが3月に入ると再び拡大し、都道府県数は20~30台で高止まりしている。


歩調を合わせるように、感染力が強いとされる変異ウイルスが拡大する。変異型の国内感染事例を1週間単位でみると、1月26日時点は4人だった。2月は20~40人台が続いたが、3月9日時点で106人になった後は毎週、100人台となっている。

23日時点は150人で、海外からの入国者で検疫で見つかった14人を含めると1週間で164人の感染が確認された。国内感染者150人のうち最も多いのは英国型で127人、ブラジル型が18人、南アフリカ型が5人だった。

感染状況の指標は悪化している。厚生労働省が26日に更新した6指標のうち、療養者数は宮城と沖縄が4段階で最も深刻な「ステージ4」相当になり、埼玉、千葉、東京が次に厳しいステージ3相当となった。

病床使用率も医療機関などでクラスター(感染者集団)が発生した福島県がステージ4相当に達した。宮城、山形、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡、沖縄の11都府県はステージ3相当だ。厚労省は病床積み増しを求めているが、感染の急拡大に追いつかないおそれがある。

春は転勤や進学、行楽で人の移動が活発になり、ウイルスが拡散する可能性がある。首都圏1都3県で緊急事態宣言が解除されて初の週末を迎えた27日、各地は多くの人でにぎわった。

ドコモ・インサイトマーケティング(東京・豊島)の位置情報データを基に推計した27日午後0時台の人出を1カ月前と比較すると、東京・銀座周辺は12.0%増、渋谷駅周辺は9.6%増えた。静岡・熱海駅周辺が38.4%増、長野・軽井沢駅周辺が50.3%増と首都圏周辺にも多くの人が繰り出した。

3月に入り客足が回復傾向にある横浜中華街発展会協同組合の高橋伸昌理事長は「この何日かで人は増えてきている。(新規感染者などの)数字は良くなっておらず、急激に増えるのは心配だ」と話す。

対策に動く自治体も出てきた。人口10万人あたりの感染者数が26日までの1週間で17.8人と首都圏を上回る山形県では、県と寒河江市が27日、独自の緊急事態宣言を発令した。市内の飲食店には30日からの営業時間短縮を要請する。宣言を出すのは山形市に続いて県内2カ所目となる。

山形市に近接する寒河江市は直近1週間で21人の感染が確認され、人口10万人あたりの感染者数は51.2人に上る。佐藤洋樹市長は「驚愕(きょうがく)する数字で危機的だ」と警戒を強めている。