三たびの緊急事態宣言 人の流れ、抑え込めるか

Nikkei Online, 2021年4月25日 8:41更新


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で25日、緊急事態宣言が適用された。3回目となる今回は、百貨店やショッピングセンターといった大型商業施設や、酒類を提供する飲食店などが休業要請の対象となる。度重なる宣言への「慣れ」も指摘されるなか、繁華街や観光地への人の流れはどう変わっていくのか。初日の動きを追った。

人影まばらな朝(大阪・梅田)


緊急事態宣言初日を迎えたJR大阪駅前
(25日午前)=柏原敬樹撮影

午前8時ごろ、大阪の中心地・梅田の人影はまばらだった。商業施設や飲食店の店頭などあちこちに「5月11日まで休業」などの張り紙がある。夜勤から大阪府豊中市の自宅に帰るという男性(29)は「しばらくの間、なるべく外に出ずに過ごそうと思う」と話した。

「一部臨時休業します」(東京・銀座)


店舗の一部臨時休業を知らせる張り紙が張られた松屋銀座
(25日午前、東京・銀座)=井上容撮影

東京・銀座の百貨店の店頭には25日朝、「緊急事態宣言を踏まえ、一部臨時休業します」との張り紙が入り口ごとに張られていた。夫婦でランニングに来ていた40代の会社員女性は足を止めて紙を眺め、「朝の人通りや車通りは普段と変わらないが、張り紙があってショーウインドーのシャッターがおりるなど店の雰囲気が違う」と話した。百貨店にも出店する靴などのブランドに勤めており「客が来れなくなり心配。休日でも在宅勤務用のパソコンで売り上げを確認する」と語った。

繁華街で飲まなくなる?(大阪・道頓堀)


大阪・道頓堀を行き交う人たち
(24日午後)=柏原敬樹撮影

大阪・ミナミの繁華街は24日夜、多くの人でにぎわった。道頓堀川沿いで友人と缶ビールを飲んでいた男子大学生(22)は「2軒目に行こうにも店がやっていない。しばらく飲食店でお酒が飲めないと思うと息がつまりそう」。創作和食店「一心一味 法善寺 茂」(大阪市中央区)は25日から5月11日まで休業すると決めた。

24日は午後5~8時の営業で来店は1組だったという。店主の中沢茂雄さん(43)は「酒類の提供なしでの営業は現実的ではない。自粛期間が続くと繁華街で飲む習慣がなくなってしまうのでは」と心配そうに話した。

臨時休業を前に(東京・日本橋)


閉店時間となりシャッターが閉まる日本橋三越本店(
24日午後、東京都中央区)=野岡香里那撮影

25日から臨時休業する東京都中央区の日本橋三越本店。24日夜の閉店間際に、孫のベビー服が入った紙袋を手に店を出た主婦(58)は「直接見て選べるのは今日まで。何とか間に合った」と、ほっとした表情だった。


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