ワクチン接種、1日100万回目標 首相が緊急事態延長陳謝

Nikkei Online, 2021年5月8日 5:14更新


菅義偉首相は7日夜、首相官邸で記者会見した。東京、大阪など4都府県の緊急事態宣言の延長と対象拡大について説明した。千葉など5県への「まん延防止等重点措置」の延長とあわせて国民に理解を求めた。

緊急事態延長「深くおわび」 変異型「強い警戒」

3度目となる宣言は当初、4月25日から5月11日まで大型連休を挟んで17日間の予定だった。首相は5月末までの延長について「変異ウイルスも拡大を続けている。ウイルスに対する強い警戒を維持し、改めて対策が必要であると判断した」と説明した。

休業要請に応じた事業者や外出自粛などに協力した国民に謝意を示したうえで「引き続きご負担をおかけするみなさんに深くおわびを申し上げる」と陳謝した。

大型連休を終えて「通常の時期に合わせた高い効果の見込まれる措置を徹底して対策を講じる」と強調した。変異型への対策を問われ、ゲノム解析による監視体制や、インドなどからの(入国者に対し)水際対策を強化する方針を示した。

首相は宣言で人流の抑制で効果が出たとし「所期の目的は達成できた」と訴えた。宣言解除に関し「(感染状況を示す)ステージ4を脱却することが目安となる。専門家や自治体の意見も聞きながら総合的に判断する」と触れた。

6月にも「一般接種を開始」

首相は「決め手になるのはワクチンだ。安心した日常を取り戻すことができるかどうかはいかに多くの方に接種できるかにかかっている」と言明した。

高齢者接種について「1700を超える市町村のなかで約1000は7月末に終えられる状況だと報告を受けている」と述べた。「1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に希望する全ての高齢者に2回接種を終える」との見通しを示した。

6月末に1億回分の準備が整うことを踏まえ「接種体制さえできれば全て(の自治体で)7月末には終えられる」と語った。医師や看護師の不足などを抱える自治体には「しっかり支援し、いち早く終わるような対策を講じる」と発言した。

6月をめどに高齢者向け接種が終わる自治体で「基礎疾患がある方を含めて広く一般の方々にも接種を開始したい」と表明した。

全国民へのワクチン接種の終了時期について問われ「速やかに高齢者を終え、国民に広く接種したい」と述べるにとどめた。

22年分は2億回分確保へ協議

米ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)と電話で協議し「9月末までに5000万回(2500万人)分が追加供給されることとなった」と言及した。

ファイザー側から東京五輪・パラリンピックに参加する選手にワクチンを無償供与したいとの申し出があったと明かした。

2022年分のワクチン確保については「米モデルナや米ノババックスと合計2億回分の供給を受けることを前提に協議を進めている」と主張した。

五輪選手、日本含め接種

首相は五輪出場を目指す選手に向けて「様々な知見があり、安全・安心な大会にするのでぜひ懸命に取り組んでほしい」と呼びかけた。

五輪選手へのワクチン接種を巡り、日本選手への接種方針を問われ「世界の選手の中の一部として日本の選手団にも接種したい」と話した。「ファイザーからの無償提供のなかに日本選手の分もある」との認識を示した。

記者会見に先立ち、政府は午後5時に首相官邸で新型コロナ感染症対策本部を開催。宣言延長とともに、宣言に準じる「まん延防止等重点措置」について千葉など5県の延長のほか、北海道と岐阜、三重両県を加え、宮城県を外すことを正式決定した。

 

<< Return to Top