コロナ病院外療養2万人超 東京都、病床使用率5割

Nikkei Online, 2021年8月2日 17:15

新型コロナウイルスの感染が急拡大し、東京都では病院外で療養する感染者が2万人を超えた。コロナ病床の使用率が5割に達し、スムーズに入院できない事態も想定される。都は入院待機者専用に新たに短期滞在型の宿泊療養施設を開設したほか、自宅で酸素吸入が受けられる体制を整備するなど対応を急いでいる。

都内では1日までに5日間連続で3,000人以上の新規感染者が確認され、1日時点で都内で療養中の感染者は2万4,774人にまで増えた。最も多いのが、自宅療養者で 11,018人と全体の44%を占め、入院患者が3,166人(13%)、宿泊療養者は1,739人(7%)と続く。入院・療養先を調整中の感染者も 8,851人に達する。

感染拡大の第5波ではワクチン接種が進んだ高齢者の感染が減少する一方、50代以下が新規感染者の9割超を占めるようになった。若年層は高齢者に比べて重症化リスクが低く軽症または無症状の感染者が多いことから、療養者全体の半数が自宅またはホテルで過ごす形となっている。

ただ、「新規感染者が増え続ければ、一定の確率で入院患者も出る」(東京都医師会の猪口正孝副会長)。すでに都内ではコロナ患者用の病床6,406床(最大確保病床)のうち、約50%が患者を受け入れている。このうち重症患者用の病床(1207床)の使用率は68%に上る。このままのペースで感染者が増え続ければ、自宅やホテルでの療養中に体調が急変しても入院先の決定に時間がかかるケースも起こりうる。


東京都は入院待機者の増加に備え、
待機者専用の宿泊療養施設を増やす
(平成立石病院での実演)

都はこうした事態を想定し、7月17日に入院待機者専用の宿泊療養施設「TOKYO入院待機ステーション」を整備した。平成立石病院(東京・葛飾)の事務棟の一角を借り上げ、ベッド20台のほか、パルスオキシメーターや酸素濃縮器などの医療機器をそろえる。救急救命士が24時間常駐し、医師の往診も受けられる。

23日から実際に患者の受け入れを始め、8月1日までに42人が入所した。いずれも翌日までには入院先に搬送されたという。医師や看護師など対応できる人数が限られるため1日に受け入れられる患者数は4~5人程度にとどまるが、都感染症対策部は「早期に稼働率を引き上げたい」と話す。平成立石病院だけでなく、民間を含む他の病院でも入院待機者用の宿泊療養施設を整備していく考えだ。

感染状況のさらなる悪化に備え、自宅で酸素吸入が受けられる体制の整備も進めている。医療機器メーカーや都医師会と組み、入院先が決まるまで患者の自宅に酸素濃縮装置を設置して酸素を吸入してもらう。500台の装置の調達のメドが立ったという。

感染力の強いインド型(デルタ型)への置き換わりに加え、人流抑制の効果が小さく都内の感染者は爆発的な増加が続く。第4波の際に大阪府が直面したような医療体制の危機を招かないために、自宅療養や宿泊療養まで含めた医療体制の整備を進める方針だ。

 

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