Nikkei Online, 2021年12月1日 22:03更新
【カイロ=久門武史】西アフリカのナイジェリアの保健当局は1日、新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」が10月に採取したサンプルから見つかったと明らかにした。南アフリカが最初にオミクロン型を報告した11月下旬の数週間前から存在していた可能性を示す。AP通信が伝えた。
ナイジェリアに入国した人の過去の感染例について、遡って分析したとしている。詳細は明らかにしていないが、すでに市中感染が広がっている可能性がある。これとは別に保健当局は同日、オミクロン型の感染を国内で初めて確認したと発表した。先週に南アフリカから到着した2人から検出した。ナイジェリアはアフリカ最大の約2億人の人口を抱えている。
韓国政府は1日、ナイジェリアから11月24日に帰国した40代夫婦と、知人らの計5人の韓国人がオミクロン型に感染していたと発表した。夫婦はモデルナ製ワクチンの2回目接種を終えており、知人はこの夫婦を空港から仁川市内の自宅まで送り届けて感染したとみられる。
オミクロン型は疑い例を含めすでに20を超す国・地域で感染が確認されており、各国が入国制限などの水際対策を強化する前に、入り込んでいた可能性が高まっている。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)は1日、スペインやドイツなど11カ国で59件のオミクロン型感染が確認されたと発表した。前日に比べ15件増えた。多くはアフリカ南部への渡航歴があった。全てが無症状か軽症で、重症者や死者は報告されていない。EU域外では12カ国・地域で感染が確認されたという。
英北部スコットランドのスタージョン行政府首相は30日、同地域でオミクロン型の感染が確認された9人はアフリカ南部への渡航歴がないと明らかにした。そのうえで「9件はすべて関連しており、11月20日に開かれたプライベートのイベントに由来する」と説明した。さらに感染者が増える可能性があるとの見方も示した。
独DPA通信によると、ザクセン州では外国渡航歴のない男性の感染が確認された。外国にいた人との接触もないという。
世界保健機関(WHO)によると南アフリカで11月9日に採取された検体から初めてオミクロン型が検出され、24日に同国からWHOに報告があった。WHOは26日には最も警戒レベルの高い「懸念される変異型(VOC)」に指定した。
欧州を含め各国は26日前後から空港検疫などで水際対策を強化したが、それ以前に欧州にオミクロン型が侵入していた間接的な証拠も相次いでいる。
オランダ保健当局は30日、19日と23日に実施した検査のサンプルからオミクロン型が発見されたと発表した。スウェーデンでは29日に感染が確認された事例について、それより1週間強前に実施した検査から見つかったとしている。