Nikkei Online, 2023年2月22日 3:15
塩野義製薬は22日、新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、後遺症のリスクを低減する効果があることを確認したと発表した。発症から5日以内に投与を始めた患者では偽薬(プラセボ)を投与した患者に比べて、せきや倦怠(けんたい)感、嗅覚異常などの症状が続く人の割合が45%減少したという。後遺症は長期間続く場合もあり、社会的損失が大きい。
22日まで米国で開かれる感染症関連の国際学会「CROI2023」で発表した。
ゾコーバの最終段階の治験に参加した対象者について、投与開始から6カ月が経過した時点までの症状の有無を追跡調査した。投与開始時、せきなど一定程度以上の症状があった患者にゾコーバを投与した場合、6カ月後までに喉の痛みや味覚異常など14症状のいずれかを認めた割合は14.5%だった。偽薬群では26.3%の患者が症状がでたという。
後遺症として報告の多い、物忘れや不眠といった4つの神経症状についても、ゾコーバを投与した患者は偽薬群と比べて33%抑制する効果が認められた。体内で増殖する新型コロナウイルスの量を早期に減らすことが、後遺症の発症リスクを減らしている可能性がある。
新型コロナの後遺症に悩む人は一定数いるものの、対症療法にとどまっている。米ファイザーの飲み薬「パキロビッド」を服用すると、後遺症の症状を訴える人が約2割減ったという米大学の調査結果も報告されている。後遺症にどう対処するかも求められている。
ゾコーバは22年11月に日本で緊急承認を取得し、中国や韓国でも早期の実用化を目指している。日本では200万人分を政府が買い取ったが、2月5日までの推定使用患者数は2万8000人程度にとどまっている。