Source: Nikkei Online, 2022年12月13日 17:41更新
次世代半導体の国産化を目指すラピダスは13日、米IBMと提携すると発表した。
スーパーコンピューターなどに使う最先端製品の技術提供を受ける。経済安全保障上、半導体は最重要の製品だが、国内では先端品を生産できない。微細な回路の形成など日本にない技術を米欧との連携で補い、国内で量産できるようにする。
電子機器の「頭脳」にあたるロジック半導体の技術の提供を受ける。半導体は回路の幅が細いほど高性能になる。世界でまだ生産技術の確立していない回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの製品の技術のライセンスを購入する。IBMが中心となっている米国の研究機関にも技術者を派遣する。契約料などは明らかにしていない。
IBMは半導体の生産から2015年に撤退した。研究開発は続けており、2ナノメートルの製品の試作に成功している。
日本には回路の詳細な構造など先端品の量産に欠かせない技術やノウハウがない。
ラピダスはベルギーの研究機関とも連携することで合意しており、米欧の友好国から技術を導入し、半導体を国内で賄えるようにする。量産できればスパコンや人工知能(AI)などに使われる見込みだ。
同日の記者会見でラピダスの小池淳義社長は「IBMの基礎技術を一日でも早く自分のものにし量産技術を確立する」と語った。IBMシニアバイスプレジデントのダリオ・ギル氏は「2ナノメートル製品の技術を継続的に開発し、長期的な協業に取り組む」と述べた。
ラピダスはトヨタ自動車やNTT、デンソーなど国内企業8社が出資して発足した半導体の生産会社。政府も700億円の補助金を出し、27年に次世代半導体を国内の工場で生産することを目指している。