Source: Nikkei Online, 2023年9月22日 8:22更新
【ニューヨーク=渡辺直樹】米マイクロソフトは21日、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」搭載パソコンに生成AI(人工知能)を使った支援機能を全面搭載すると発表した。これまで試験提供してきたが、26日から順次、サービスを正式に始める。文書の要約や画像の自動作成といった機能を拡充し、ビジネスソフトの大幅な業務効率改善につなげる。
「コンピューターの新しいカテゴリーをつくりあげた」。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は米ニューヨークで開いたイベントで生成AI搭載パソコンをこう表現した。
コンピューターの歴史を振り返り、「(19)90年代の再来だ」と述べた。パソコンを使いやすくし、普及が爆発的に加速した「ウィンドウズ95」以来の革新として期待を込めた。
26日の「ウィンドウズ11」の更新に合わせて消費者向けに提供を始め、セキュリティー機能を高めたビジネス向けは11月1日にサービスを開始する。
これまで「ワード」などの業務ソフト群「マイクロソフト365」、検索エンジンの「Bing(ビング)」など別々に生成AIを試験的に搭載してきた。「マイクロソフト・コパイロット」の名称でソフトを集約し、一括で操作できるようにした。
コパイロットは飛行機などの「副操縦士」の意味で、AIのコマンド画面を横に呼び出し、対話型AI「Chat(チャット)GPT」のように、文字入力や音声入力で人に話しかけるように指示して使う。
たとえばメールソフト「アウトルック」で受信したメールに、自動で返信内容の草稿を作成する、プレゼンテーション資料をイラストやグラフを交えて自動作成するといったことが可能になる。
検索エンジンとも連動し、ウィンドウズの画面から直接知りたい内容をAIに話しかけて情報を調べられる。画像を貼り付けて内容の詳細を検索することも可能だ。
同日発表したキーボード付きタブレット端末「サーフェス」では、AI支援機能を使いやすくした新製品を発表した。
パソコンやタブレットの出荷台数が伸び悩む中、業務を効率化するAIの利便性を訴え、利用者増につなげる。企業向けは月額料金30ドル(約4400円)と7月に公表しており、サブスクリプション(定額課金)方式で使う同社のソフトに追加課金する形となる。
マイクロソフトは1月にチャットGPTを開発した米オープンAIに数十億ドルにおよぶ追加投資を発表した。同社の技術とマイクロソフトの得意とするクラウド基盤を組み合わせ、生成AI事業を強化している。OSへの全面搭載により、生成AIの商用サービスで先行する形となる。