Source: Nikkei Online, 2024年5月9日 17:35
経済産業省はソフトバンクのAI(人工知能)開発用のスーパーコンピューター整備に421億円を補助する。国内ではAIの学習に必要な計算基盤が不足している。基盤づくりを支援することで、経済安全保障の観点から重要な国産のAI開発を後押しする。
ソフトバンクが日本国内で整備するAI向けスパコンの総事業費の3分の1にあたる421億円を補助する。補助金はスパコンを動かすために必要な米エヌビディアの画像処理半導体の調達費用などに使われる。
経産省が10日にも補助の内容を発表する。2023年にも同省はソフトバンクの別のAI向けスパコンに53億円を支援している。
整備したスパコンはソフトバンクが自社の生成AI開発に使うほか、クラウドサービスを通じて、国内のスタートアップなどAI開発者が遠隔で利用できるようにする。経産省は公募でソフトバンクを選んだ。選定の要件としてクラウドを自社で使うだけでなく、最低でも3年間、相場より安い価格で外部に提供することを求めた。
AIや生成AIの開発に向けては、スーパーコンピューターを使って膨大なデータを学習させる必要がある。ただ、国内では計算基盤が不足しており、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)といった外資系のクラウドに依存している。
経産省は国内のスパコンやそれに伴うクラウドの整備を急ぐ。ソフトバンクだけでなく、4月にはKDDIやGMOインターネットグループ、さくらインターネットなど5社への725億円の支援を発表した。スパコン事業者とAI開発者をつなぐ検討会の開催も計画している。国産のAI開発を多方面から支援する。