Nikkei Online, 2025年12月10日 9:43更新

【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリア政府は10日、16歳未満のSNS利用を禁止する法律を施行した。国としての禁止措置は世界初となる。SNSを介したいじめや有害なコンテンツの閲覧を防ぐ狙いがある。国内では賛否両論が出ている。
禁止対象となったのは中国発の動画共有アプリ、TikTok(ティックトック)や米メタのフェイスブック、インスタグラム、米X(旧ツイッター)、米グーグルの動画共有サイトのYouTube(ユーチューブ)など10のサービス。対象は適宜見直す。
アルバニージー首相は10日の記者会見で「(SNSで)息子や娘を失い、他の人々が同じ苦しみを経験しないように、という決意と取り組みに変える勇気を持った親たちのおかげで達成できた」と述べた。
世界で豪州に追随する動きが出ていることには「世界の国々が『オーストラリアにできるなら、なぜ私たちにはできないのか』と考え、大きな違いを生むものだ」と語った。
ウェルズ通信相も10日のラジオ番組で「抜本的な改革だ。世界が注目していることを国民は誇りに思うべきだ」と話した。
運営企業は16歳未満の利用を阻む措置をとる必要がある。豪州政府は年齢の確認方法を企業に委ねた。怠った場合は最大で4950万豪ドル(約50億円)の罰金を科す。親や子どもに罰則はない。

法施行を受けて企業はアカウント削除などの措置を始めた。TikTokはすでに20万アカウントを凍結した。
豪州は2024年11月、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決した。子どもがSNSを通じていじめを受けたり、心身の健康を損なったりする事例が相次ぎ、保護者らから規制強化を求める声が上がっていた。
子どもの表現の自由や情報へのアクセスといった権利を侵害するとして、規制に慎重な意見も出ている。
子どもからは反対や戸惑いの声が上がる。アプリストアでは禁止対象に含まれていない動画・写真共有アプリ「Lemon8」などのダウンロード数が増えている。子どもが代替サービスに流れ込んでいるようだ。