米国のAI半導体「能力は中国の5倍、2年後17倍に」
 米シンクタンク

Nikkei Online, 2025年12月23日 18:54更新

米国政府はエヌビディアのAI半導体の輸出規制を緩和する=ロイター

【広州=藤野逸郎】米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)は米国と中国の人工知能(AI)半導体は技術力の格差が拡大するとの報告書を発表した。現状で最先端の米エヌビディアのAI半導体は能力差が中国・華為技術(ファーウェイ)の製品に比べて5倍あり、2027年後半までに17倍に開くという。

トランプ政権が認めたエヌビディアの先端半導体「H200」の対中輸出解禁に関連してまとめた。同製品は主力品「ブラックウェル」より計算処理能力などの性能が劣るものの、「輸出解禁はAIの開発競争で米国に大きなリスクをもたらす」と警告する。

仮に26年に300万個のH200を輸出すると、中国のAI開発能力を少なくとも2〜3年分増強させるという。世界最大級のデータセンターを建設する可能性があり「AI新興のDeepSeek(ディープシーク)などは米との差をはるかに早く埋める」と予測した。

米中の半導体に差がある根拠について「中国製造受託大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は回路線幅7ナノ(ナノは10億分の1)メートルの生産にとどまり技術は天井に達している」と分析。高性能化の鍵を握る回路線幅の微細化に行き詰まっているとした。

ファーウェイの半導体はSMICなどが製造受託しているとされる。このため同社は少なくとも今後2年、エヌビディアのH200を上回る能力の半導体を出す計画がないとみる。匹敵する製品の投入は27年後半以降で、28年から本格利用が始まるとしている。

半導体の生産能力も差があり、ファーウェイが提供するAIの計算能力は楽観的な仮定でも25年はエヌビディアの5%、26年は4%、27年は2%と分析。ファーウェイが半導体の生産量を100倍に増やしても、エヌビディアが提供する計算能力の半分未満という。

ファーウェイは個々で劣る半導体の計算能力を補完するため、半導体を大量に搭載したエヌビディア製よりも高性能と称するAIサーバー群を投入する計画だ。CFRは報告書で、エヌビディアのAIサーバーに比べると生産量は大幅に少ないとも分析した。

一方で中国は国産AI半導体の育成を急ぐ。国有企業にはファーウェイ製など国産半導体の利用を推奨する。7兆円超の資本金を持つ半導体の国策ファンドも新たに始動させるなど、外国に頼らない半導体のサプライチェーン(供給網)の構築を目指す。

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