Nikkei Online, 2025年12月31日 17:00

NTTデータグループは2026年度中にIT(情報技術)システム開発をほぼ生成AI(人工知能)が担う技術を導入する。開発工程をAIに適した形にし、人による作業を減らす。国内を中心に深刻なIT業界の人材不足を解消する抜本策となり、システム業界が労働集約型の事業モデルから転換する契機となる。
開発工程そのものについて、人ではなく生成AIに合わせて単純にする「AIネーティブ開発」と呼ぶ手法を取り入れる。まずAIが顧客企業の要望を分析して、システムの最初の設計図に当たる「要件定義書」をつくり、別のAIがプログラミングに取り組んでシステムを完成させる。
これまでのシステム開発は必要な機能などを決めた後に、より細かい設計図を作製してからプログラミングに移るという流れだった。新技術を使うと設計図づくりを省くことができて、全体の開発工程を減らせる。
IT技術者はAIが完成させたプログラムの点検や工程全体の補佐役に特化する。動作不良や改善点などがあればAIに指示を出して自動で修正させる。システムの品質を確保しながら開発期間を大きく短縮できるという。30年度をめどに現状に比べて作業効率を5割ほど高められるとみられる。
まずデジタル技術で業務効率化や事業改革を進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)のほか、中堅・中小規模の開発案件に取り入れる計画だ。銀行の勘定系システムや製造業の生産管理システムといった大規模で複雑な案件には段階的な導入を検討している。
国内を中心にシステム業界では人手不足の解消のめどが立たない。26年以降も企業のDX需要や老朽システムの更新、急増するサイバー攻撃への備えなどの需要が拡大する。調査会社のIDCジャパンによると、国内ITサービス市場は29年に9兆6625億円と、24年に比べ4割近く膨らむ。
IT業界では技術者のスキルと人数、期間を掛け合わせて開発費を決めている。国内首位のNTTデータGがシステム開発に生成AIを全面的に導入することで業界全体がモデルの転換を迫られる。
AIネーティブ開発には、世界のIT・テック大手も高い関心を持つ。クラウド世界最大手の米アマゾン・ウェブ・サービスは25年に同技術の活用を提唱した。IT調査・助言の米ガートナーも26年の最重要技術にあげる。NTTデータGはAIネーティブ開発の実用化で先行し、世界での競争力を高める狙いもある。
(高槻芳、松田虎太朗)