ラグビーのワールドカップ(W杯)1次リーグ第2戦、日本―アイルランドは28日、静岡・エコパスタジアムで行われ、初の8強入りをめざす日本が、世界ランキング 2位の優勝候補アイルランドに 19-12と逆転勝ちした。日本は前回2015年大会の南アフリカ戦に続く、2大会連続の金星。 2連勝の日本は勝ち点を 9に伸ばして A組首位に立ち、初の決勝トーナメント進出へ大きく前進した。
前半13分と20分にトライを奪われた日本はSO田村(キヤノン)が 3PGを決めて 9-12で後半に突入。 後半18分、WTB福岡(パナソニック)のトライで逆転に成功した。 1次リーグは残り 2試合で、日本は10月5日にサモア、13日にスコットランドと対戦する。 A組で 2位以内に入れば 8チームによる決勝トーナメントに進む。
3点を追う前半終了直前、アイルランドのキックオフミスで得たチャンスで、日本は果敢にセンタースクラムを選択した。相手が疲弊しているとみて、もくろみ通りの連続攻撃。フッカー堀江が得意のゴロキックをタッチライン際に転がし、WTBレメキを走らせたが、惜しくもラインを割って前半が終わった。
アイルランドの前半の2トライは、SOカーティからの精緻なキックから生まれたもの。強豪国のスキルを見せつけたが、前半での一気の逆転を狙ったように、序盤の勢いは明らかに日本にあった。
前半の立ち上がり、右肩のけがから復帰したナンバー8のマフィが密集でボールを奪い返し、相手防御を打ち破った。マフィは前半30分すぎにケガでピッチを去ったが、交代で入ったリーチが新たなガソリンを注入する。
相手の強力FWに対し、スクラムでも健闘。最初の相手ボールスクラムでは反則をとられたが、前半34分すぎ、自陣内での相手スクラムでは反則をとってやりかえした。右プロップの具は思わずガッツポーズ。これで得たラインアウトからの攻撃で反則を得て、SO田村が3本目のPGを決め、3点差に追い上げて前半を終えた。
相手をじりじりと追い詰めて迎えた後半18分だった。相手ゴール前、FWの頑張りでつないだ球を、CTBラファエレがクイックパス、ボールを受けたWTB福岡が左隅に飛び込み、この日のチーム初トライ。ついに逆転に成功した。試合直前のメンバー変更でベンチ入りしていた殊勲の福岡は「このために苦しい準備をしてきた」と喜んだ。
逆転されると、アイルランドは足が止まり始めた。2人がかりのタックルでも、日本選手の勢いを止められない。後半31分には密集での反則から得たPGを田村が決めて、19-12と突き放した。
さらに福岡がパスカットから独走してゴール前まで迫る。ここで得たスクラムからも攻め続け、アイルランドの選手があきらめたようにタッチに蹴り出し、試合終了。ジャパンの選手たちは跳び上がって喜んだ。田村は「アイルランドに勝つと信じて準備してきた。準々決勝も準決勝も決勝も目指している。国民の皆さんも僕たちはできると信じて待っていてください」と力強く語った。
前回大会で南アフリカを破った時は「奇跡」と称賛された。だが、今回は周到な準備とハードワークが勝因だ。「選手を誇りに思う。長い期間をかけてこの試合について考えてきた。選手が力をつけ、ゲームプランを遂行することができた」と日本のジョセフ・ヘッドコーチ。決して「奇跡」なんかではない。
(摂待卓)