Source: Nikkei Online, 2025年12月26日 19:00

日本IBMの山口明夫社長が26日までに日本経済新聞の取材に応え、企業向けシステムの開発工程全体に生成AI(人工知能)を適用する方針を示した。山口氏は経済同友会の代表幹事にも内定しており、テクノロジーを起点とした日本経済の成長戦略についても語った。
山口氏は2026年の展望について「システム開発の世界が劇的に変化する年になる。品質向上と工期短縮が同時に進む」との見通しを語った。
米IBMグループは10月、プログラミングに強い生成AIを提供する米アンソロピックと提携した。同社の技術や日本IBMが蓄積したAI活用のノウハウを組み合わせながら「(要件定義や設計、プログラミング、テストなど)全ての開発工程にAIを使って生産性を高める」(山口氏)とした。
日本の IT(情報技術)業界は労働集約型の事業モデルに依存している。システム開発に投入した人員数や作業時間が減少すれば収益減につながりかねない。
山口氏は「(開発案件ごとの)売り上げが下がっても(AIによる開発で)利益率が上がれば問題ない」との見方を示す。顧客の企業から見れば IT投資をより高付加価値のシステムに回せるようになる。こうした案件をIT企業が請け負うことで売り上げ全体は増やせるとした。
生成AIの進化は幅広い企業に影響する。今までデジタルトランスフォーメーション(DX)を阻んできた ITスキル不足という課題は、人に代わって自律的に業務を遂行する「AIエージェント」などの台頭で解消に向かうという。山口氏は「AIを使いこなすための経営戦略やデータの整備が、企業経営の成否を分ける本質的な条件になる」とも指摘した。
26年1月1日付で経済同友会の代表幹事に就く山口氏は日本経済の成長策にも言及した。「付加価値の高い製品やサービスを国内で生み、世界に展開する。その好循環を回す最初のボタンがテクノロジーだ」と強調し、デフレ時代のコスト削減志向から価値創出重視へと企業経営の視点を転換するように求めた。
(高槻芳)