22年度貿易赤字21.7兆円、過去最大 資源高・円安響く
Nikkei Online, 2023年4月20日 11:35更新
財務省が20日発表した2022年度の貿易統計速報によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は21兆7284億円の赤字だった。貿易赤字は2年連続で、赤字幅は過去最大となった。ロシアによるウクライナ侵攻によって火力発電などに使う石炭や天然ガスの資源価格が世界的に高騰し、輸入額が膨らんだ。21年度から進んだ円安も響いた。
輸出は21年度比15.5%増の99兆2264億円、輸入は32.2%増の120兆9549億円だった。輸出、輸入とも過去最高を記録した。
輸入増は資源価格の高騰に円安が拍車を掛けた。円の対ドル相場が21年度平均の1ドル=111円91銭から、22年度は135円05銭と大幅な円安に振れた。
原油は数量ベースは6.8%増えたのに対し、金額ベースは70.8%増の13兆6932億円。円ベースの単価は1キロリットルあたり8万7195円で59.9%上昇した。ドルベースの単価は1バレルあたり102ドル65セントで32.5%上がった。
液化天然ガス（LNG）の輸入数量は1.3%減ったにもかかわらず、輸入額は77.6%増の8兆8923億円と大きく膨らんだ。石炭は数量1.9%の減少に対し、金額は2.4倍の8兆5805億円だった。
石油製品や液化石油ガスも含めた燃料全体でみると金額は77.0%増の35兆1924億円だった。輸入総額に占める割合は29.1%に上った。
輸出は自動車が28.0%増の13兆7351億円、鉄鋼は15.1%増の4兆7629億円、半導体製造装置は13.7%増の4兆463億円となった。
地域別にみると、米国向けは21.3%増の18兆7030億円で自動車の輸出が26.4%増えてけん引した。中国向けは1.3%増の18兆5138億円。米中向けの輸出額はいずれも過去最高だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う上海の都市封鎖（ロックダウン）の影響などで中国向けの伸びは鈍かった。
ウクライナ侵攻を続けるロシアとの貿易は輸出、輸入いずれも減った。輸出は39.8%減の5240億円で、経済制裁の影響で大幅に減少した。一方、輸入は6.3%の減少にとどまり、金額は1兆7246億円だった。LNGは6754億円で44.0%伸びた。
同時に発表した23年3月の貿易収支は7545億円の赤字となった。赤字は20カ月連続。自動車や半導体製造装置の輸出が増え、全体の輸出額は前年同月より4.3%増の8兆8242億円だった。輸入は原油や石炭が伸びて7.3%増の9兆5787億円。3月の輸出、輸入額としていずれも最高だった。