南海トラフ「巨大地震注意」 宮崎震度6弱で初の臨時情報

8日午後4時43分ごろ、宮崎県で最大震度6弱を観測した。震源は日向灘で、震源の深さは約30キロ、地震の規模はマグニチュード(M)7.1と推定される。気象庁は巨大地震が発生する可能性が平時より高まっているとして南海トラフ臨時情報の「注意」を初めて発表した。

臨時情報には防災対応に応じて①警戒②注意③調査終了――の3パターンがある。今回発表されたのは注意で、備えを再確認し、すぐ避難できるように準備する必要がある。

同庁は大規模地震が発生した場合の震源域は、今回の地震の周辺にとどまる可能性もある一方、関東から九州の太平洋側に広がる南海トラフ全域に及ぶ恐れもあるとした。最大規模の地震が発生すると、広範囲で強い揺れが起き、太平洋沿岸で高い津波が予想されるという。

今回の地震の震源地は南海トラフ地震の想定震源域に位置しており、同庁はまず南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表し、専門家らによる検討会を開催。巨大地震発生の可能性が高まったかどうかを判断する調査に着手した。

今回の地震では九州を中心に広範囲で揺れを感じ、宮崎県日南市で震度6弱、宮崎市と鹿児島県大崎町などで震度5強、宮崎県小林市と鹿児島市などで震度5弱を観測した。

建物の高層階を大きく揺らす「長周期地震動」も発生。宮崎県南部の山沿いで立っていることが困難な階級3、同県北部や南部の平野部のほか鹿児島県薩摩地方などで物につかまりたいと感じる階級2を観測した。

高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の各県に津波注意報が出され、気象庁は海岸から離れるよう呼びかけた。宮崎市の宮崎港では50センチの津波を観測した。

政府は8日、首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置した。

岸田文雄首相は「被害の情報を収集している。引き続き強い揺れに注意し、命を守る行動をお願いする」と呼びかけた。

首相は指示を出した。①国民への津波や避難に関する適時的確な情報提供と住民避難など被害防止措置の徹底②早急な被害状況の把握③地方自治体と緊密に連携して被災者の救命・救助などの災害応急対策に全力で取り組む――の3点を挙げた。

林芳正官房長官は記者会見で「九州電力川内原発をはじめとする原子力施設については、現在のところ異常があったとの報告は受けていない」と述べた。

会見で説明する気象庁の担当者(8日、東京都港区)

宮崎空港は滑走路を閉鎖し、全ての航空機の離着陸を停止した。JR九州は宮崎、鹿児島の各県で一部在来線の終日運転見合わせを決めた。九州新幹線と西九州新幹線は全線で一時運転を見合わせたが、安全が確認できたため両線とも運転を再開した。


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