江藤農相が辞表提出、コメ発言で事実上の更迭
 後任に小泉氏起用へ

記者会見する江藤農相(20日午前、農水省)=共同

江藤拓農相は21日、首相官邸で石破茂首相に辞表を提出した。江藤氏は18日に佐賀市での講演で「コメは買ったことがない」などと発言し、批判を招いていた。首相は後任に自民党の小泉進次郎前選挙対策委員長を起用する方針だ。

石破内閣が2024年10月に発足して初めての事実上の閣僚更迭で、夏の参院選を前に政権運営への打撃となる。

首相は21日、首相官邸で記者団に辞表を受理したと明らかにした。「すべて任命権者の私の責任だ。いかなる批判があっても私が受け止めるべきものだ」と語った。

農政改革について「私自身農相を務めていたときから強い思いを持っていた。コメの高止まりは構造的なものではないかという思いを持っている。根本的に変えていくのが私の責任だ」とも話した。

これに先立ち江藤氏は首相と面会後、首相官邸で記者団に「国民がコメの高騰に大変苦労されている。極めて不適切な発言をした。国民におわびしたい」と陳謝した。

「米価を下げなければならないなか国民の信頼が欠かせない。信頼を損なったのであれば身を引くことが国民にとってもいいことだと判断した」と述べた。自民党の宮崎県連会長も辞任する意向も示した。

江藤氏は18日、佐賀市での講演で「私はコメは買ったことがない。支援者の方々がたくさんコメを下さるので、まさに売るほどある。私の家の食品庫には」と発言した。佐賀新聞などが報じ、批判が広がった。

立憲民主党など野党5党の国会対策委員長は20日に国会内で会談し、江藤氏の更迭を首相に要求することで一致した。更迭しない場合、農相の不信任決議案提出を検討することも確認していた。

首相は20日朝、首相官邸で記者団に「コメの価格高騰にきちんと答えを出すのが農相の仕事だ。その答えを出してほしい」といったんは続投させる意向を表明していた。国会での法案審議などへの影響を考慮し、事実上の更迭に踏み切った。

江藤氏は衆院宮崎2区選出で、当選8回。安倍晋三政権の19年にも農相を務めていた。24年10月の衆院選で落選した小里泰弘氏の後任として24年11月に発足した第2次石破内閣で再び農相に就任していた。


ひとこと解説

大泉一貫宮城大学 名誉教授

更迭かどうかは別にし、この方は大事なときに判断を間違い続けたのは確かです。
まずコメは足りている発言です。
私はこの欄でそれはミステリーと書いたことがあります。
また、流通業者を価格高騰の犯人にしたてて、4月にそうした事実はないと訂正しました。
最大の問題は備蓄米流通を滞らせ、混乱を長引かせていることです。
放出ルールも書けばきりがないほどめまぐるしく変えてきました。
業界はとてもついて行けないでしょう。
放出の実効性がないにもかかわらず農水省は21万トンで280億円ほど儲けています。
政府が儲けてどうするんだ、です。
この方が行った数々の判断ミスでこれからも米価は上がり続けるでしょう。

2025年5月21日 8:17

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