Nikkei Online, 2025年5月28日 12:25更新
小泉進次郎農相は28日、衆院農林水産委員会で初の本格的な国会論戦に臨んだ。政府備蓄米の放出で「供給量を増やして異常な(コメの)価格高騰は抑えていく」と述べた。輸入を巡り「あらゆる選択肢を排除しないというメッセージはマーケットに伝えなければいけない」と答えた。
立憲民主党の野田佳彦代表への答弁。小泉氏の27日の所信表明を受けた質疑で、国民民主党の玉木雄一郎代表や日本維新の会の前原誠司共同代表も質問した。
小泉氏は「週明けには事業者の努力のおかげで(2022年産の)5キロ2000円の備蓄米が店頭に並ぶ」と説明した。21年産は5キロ1800円程度になる見込みだとも言及した。「古い備蓄米を卸す価格としては適正だ」と説いた。
小泉氏は「国産米離れを食い止めなければならないという思いで、いま備蓄米の安値での放出をやっている」とも強調した。野田氏は備蓄米の放出量には限りがあり「外国産米を補充の材料に考えている節があるのではないか」と指摘した。
小泉氏は30日にも始める中小スーパーなどへの備蓄米放出について1事業者あたりの申込数量に制限をかける案にも言及した。「きめ細かく広がりをもった備蓄米の供給も大事だ」と述べ、より多くの事業者に行き渡るように配慮する姿勢も示した。
備蓄米は本来、災害や天候不良による不作に備えて確保するものだ。小泉氏は「価格の高止まりが解消され、国が買い戻す環境が整った場合には今回の放出分も含めて放出数量と同数量を買い入れる」と話した。その上で「計画的に適正備蓄水準の100万トンまで回復していく」との見通しを述べた。
小泉氏は27日、22年産の備蓄米販売の随意契約に関する小売業者からの申請が放出予定の20万トンに達したと明かした。30日にも中小スーパーや米穀店を対象に最大10万トンの21年産の売り渡しについて申請の受け付けを始める。