G7、ウクライナ支援で結束 ゼレンスキー氏「協力達成」

討議に臨むG7首脳ら。
中央奥はウクライナのゼレンスキー大統領(21日、広島市)=代表撮影

主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)は21日、ウクライナのゼレンスキー大統領を交えた討議を開き、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの財政や軍事面での支援を「必要な限り提供する」ことで一致した。
武力による一方的な現状変更を図るロシアを念頭に「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を守る決意も表明した。

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G7広島サミットは21日、全日程を終えて閉幕した。
G7首脳は同日午前、来日したゼレンスキー氏を招いてウクライナ情勢を1時間ほど討議した。
サミットは侵略にさらされる国のトップが参加する極めて異例の展開になった。

ゼレンスキー氏は討議で「同盟国やパートナーとともに、民主主義、国際法、自由の尊重を保障する(高い)レベルの協力を達成した」と強調。「民主主義国家を侵略しようとする者は誰でも、その反応がどうなるか分かるだろう」と語った。

招待国も参加する拡大会合にも出席し、インドやブラジル、インドネシアの首脳にも支持を訴えた。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国は中立の姿勢を貫いており、各国の協力が和平実現に欠かせない。

ウクライナは近く反攻作戦を始める構えで、長期戦を見据える。戦時下に国を離れたゼレンスキー氏は西側諸国から軍事支援の拡大を引き出すのが主な目的だった。

バイデン米大統領は21日、ゼレンスキー氏と会談し、欧州の同盟国による米国製戦闘機「F16」の供与を容認すると伝えた。ウクライナ軍のパイロットの訓練も支援する。大砲や弾薬など3億7500万ドル(約520億円)相当の追加軍事支援も説明した。

スナク英首相はサミット閉幕後の記者会見で、英国がウクライナ軍のパイロットの訓練を夏に始めると明らかにした。

F16の供与には欧米が長期にわたって軍事的にウクライナを後押しする意志を示す狙いもある。ドイツのショルツ首相は同国メディアに「長期戦になっても侵攻の成功は望めないというロシアへのメッセージだ」と語った。

ゼレンスキー氏は広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、原爆慰霊碑に献花した。ロシアから核の威嚇を受ける大統領が被爆地を訪れて核の惨禍を共有する機会となった。