Nikkei Online, 2023年6月11日 5:00
温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンゼロ」。達成に向けた世界の動きを描く連載企画は、最新シリーズの第9部で「再エネテックの波」と題し、次世代技術を巡る覇権争いを取り上げました。
薄く、軽く曲げられる次世代の太陽電池「ペロブスカイト」。従来のシリコン製では不可能だった壁面や車の屋根にも設置でき、ゲームチェンジャーになるともいわれます。脱炭素で有望な11技術の開発・普及の工程表を日経独自に分析しました。
発電量の9割を再生可能エネルギーでまかなう場合、蓄電池の価格がいくらに下がっていれば電気代がそこまで上がらずにすむのか――。専門家の知見も参考に試算しました。豊かな自然やワインで有名なオーストラリアの南オーストラリア州では再生エネと蓄電池の最適解を探る取り組みが進んでいます。
脱炭素の切り札といわれる浮体式洋上風力。巨大な供給網を構築すれば、国力や産業を変える力を得ます。覇権を握るために大規模開発を競う米国や欧州に対し、日本が巻き返すには何が必要なのかを考えました。
再生エネ由来のグリーン水素と回収した二酸化炭素(CO2)からつくる合成燃料に注目が集まっています。エンジン車を販売したい自動車メーカーや、電動化が難しい航空業界だけでなく、次世代燃料でも主導権を握りたい産油国も後押ししています。脱炭素の移行期を巡る思惑を探りました。
世界がカーボンゼロを競い始めました。化石燃料で発展してきた人類史の歯車は逆回転し、エネルギーの主役も交代します。第1部では農業、産業、情報に次ぐ「第4の革命」とは何かを総論としてまとめました。
電化の時代が訪れる――。カーボンゼロの達成に向け、化石燃料をなるべく燃やさず、温暖化ガスを出さない電気で社会を動かす重要性が高まっています。太陽光や風力を操り、電気をためる蓄電池を押さえた国がエネルギーの新たな覇者になります。日本の対応も問われています。
原子番号1番、元素記号H。「水素」がカーボンゼロの切り札に浮上しています。宇宙の元素で最も多い水素は枯渇せず、燃やしても水になるだけ。究極の資源Hを制する競争が始まっています。
温暖化ガス排出を実質的になくすカーボンゼロの取り組みで企業が選別される――。そんな時代に突入し、動きが鈍い企業は退場を迫られることになります。脱炭素を軸に経営を刷新できるか。グリーントランスフォーメーション(GX)が企業価値を決めるようになりつつある最前線を追いました。
世界全体の課題であるはずの気候危機にも米中対立といった分断が影を落としていまます。先進国主導のカーボンゼロの議論には限界も見えます。どうすれば各国は利害を超えて立ち向かえるのでしょうか。グリーンポリティクス(緑の政治)の知恵が問われています。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんら脱炭素へ声をあげるZ世代の動きなどから考えてみました。
ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻したことで、それまで世界で動きが加速していたカーボンゼロは乱気流に見舞われました。ロシアが産出する天然ガスや石油の供給不安から、エネルギー安全保障の意識が一気に高まり、化石燃料の増産も広がりました。同年4月の連載では侵攻直後の欧州の混乱ぶりを取り上げました。
ロシアのウクライナ侵攻により、地球温暖化を抑える脱炭素は試練の時を迎えました。ロシアは天然ガス・原油の産出国で、世界ではエネルギーの安定供給が揺らぐ危機が起きました。脱炭素の試練とエネルギー供給不安という「2つの危機」を乗り越える現実解を導けるか。原発の活用拡大を打ち出した欧州や、脱炭素への「移行(トランジション)」に集まりだしたマネーの動きから検証しました。
ロシアのウクライナ侵攻により、世界のエネルギー環境は2022年に大きくかわりました。エネルギー安全保障の重要性が再認識される一方で、異常気象が相次ぎ、気候変動対策を急ぐ必要性も高まっています。試練の先を見据え、安定供給と脱炭素を両輪で加速させようとする世界の動きを取りあげました。
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